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ミステリの祭典

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風よ、緑よ、故郷よ
風よ、緑よ、故郷よ

作家 岩崎正吾
出版日1988年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2022/02/16 23:27登録)
(ネタバレなしです) 1988年発表の刈谷正雄シリーズ第1作で、むしろ田園本格派推理小説として知られているかもしれません。もっともこのシリーズは3作書かれていますが、田園ミステリーと呼ぶのにふさわしいのは本書のみのようです。夏目漱石の「坊ちゃん」(1906年)を連想させる行動で教師をやめた正雄が約15年ぶりに故郷の村へ戻って、にわか探偵となって未解決の父親殺しの犯人を探すプロットです。地方色豊かな舞台描写はとても魅力的で、終盤にはちょっとした登山シーンもあります。kanamoriさんのご講評でも紹介されているように地方色が濃いと言っても排他的とか陰湿な雰囲気はほとんどなく、主人公に対する大半の村人たちの対応は温かくて捜査にも協力的です。横溝正史の金田一耕助シリーズで描かれる田舎社会とはまるで異なりますが、本書の朴訥な雰囲気も悪くありません。最後のどんでん返しがとってつけたような感じがあり(まるでエラリー・クイーンの「三角形の第四辺」(1965年))、謎解きは満足できるレベルではありませんがさわやかな読み心地を楽しめる作品です。色恋場面はさわやかと言えるかは微妙ですが(笑)。

No.1 7点 kanamori
(2010/05/05 18:07登録)
父親の死の謎に向き合うため教職を辞して、故郷に帰ってきた主人公を中心に描く田園派の本格ミステリ。
田舎が舞台ですが土俗的な陰湿感はなく、登場人物も個性的で爽やかな青春ミステリのような雰囲気なので、読後感は非常によかったです。さりげない伏線の張り具合といい、作者の作品のなかでは比較的完成度の高い本格編だと思います。

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