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ミステリの祭典

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男たちは北へ
深志荘シリーズ

作家 風間一輝
出版日1989年04月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2016/05/05 21:53登録)
1989年に発表された作者のデビュー長編。
風間氏は数冊の作品を出した後、1999年に没した“知る人ぞ知る”的な作家(なんだろう)。

~東京から青森まで・・・。緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車でツーリングする中年グラフィック・デザイナー、桐沢風太郎。ひょんなことから自衛隊の陰謀騒ぎに巻き込まれ、特別隊に追跡されるはめになった! 道中で出会ったヒッチハイクの家出少年、桐沢、自衛隊の尾形三佐・・・。追う者と追われる者の対決、冒険とサスペンスをはらみつつ、男たちは北へ! 男たちのロマンを爽やかに描く傑作ロードノヴェル~

無骨で汗臭い男たちの物語。
本作をひとことで言い表すとしたらそんな感じか?
主人公である桐沢が東京を出発し国道四号線を北上、ゴールの青森駅を目指す行程がひたすら描かれるストーリー。
とにかく旅行記さながらに途中の街町の風景や名物までも織り込まれている。

いったいどういうジャンル?
ラストには何かミステリーっぽい仕掛けでもあるのか? などと考えていたのだが・・・
そんなことは考えてはいけないのだ!
とにかく男たちは北へ向かうのだ!
中年も少年も自衛隊員も、ひとりの男として成長するのだ!
読んでくうちに、何だかこっちの太ももも自転車のこぎ過ぎで痛くなってきたような気分(嘘です)。

自衛隊の陰謀云々はいったい何だったのか?
まるでコントのように茶々を入れるだけに終わったし、桐沢本人が言っているように、「最初から素直に返してって言えばいいのに・・・」ということに尽きるだろ!

自転車好きの方ならこういう冒険譚に心躍るんだろうなぁー
最近ならロードバイクっていうんですか、昔と違って坂道を登るのもだいぶ楽になってきてるっていいますし・・・
でも無理だなぁ。野宿なんてイヤだし・・・

No.1 10点 Tetchy
(2008/06/03 20:20登録)
自転車旅行を題材にしたロードノベル。作者が行った東京~青森間自転車走破の実体験に基づいているらしい。
それに自衛隊の陰謀を絡めて、単なるロードノベルに終わっていない。

そしてこの無骨な主人公桐沢の魅力にどんどん引き込まれていき、読者は彼と同化し、旅の名残を惜しむように本を閉じることだろう。

作者のデビュー作でありながら、傑作。
多分あなたも私同様、読み終わったら自転車の旅に出たくなるに違いない。

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