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ミステリの祭典

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七週間の闇

作家 愛川晶
出版日1995年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2023/06/09 12:45登録)
 浮世離れした価値観に金銭欲が絡む曼荼羅。どっちでどっちをカムフラージュしているのか。もはや渾然一体。
 ホワイダニットには驚き、しかし確かに平仄は合うと納得もし、但し私は血縁にこだわる気持にはまるで共感出来ず、別次元から眺めている気分だった。
 記述が曖昧で不確定な事柄だが、福島で一度会っただけの相手を東京で探し出せるか、その人と更に偶然再々会出来るか。この点は御都合主義だな~。

No.1 6点
(2013/01/27 17:29登録)
本作については、ミステリとホラーの融合ということが言われているそうです。しかし臨死体験や胎児の記憶、チベット仏教等が取り入れられていても「ホラー」とは限らないでしょう。本作ではそれらの扱いがかなりまじめ(学術的)で、カーなどのような得体のしれない不気味さは感じられません。実際のところ本作の怖さはむしろ、一人称形式で語られる章の「私」こと亜矢子の心理的サスペンスです。
しかし、その超自然・宗教的要素とミステリ的要素とは確かにうまく絡み合っていると思います。ただ、作中で言い訳をしてはいるものの、やはり考え方自体に身勝手な矛盾があります。
文庫化された時、エピローグを付けるなど改訂されているそうですが、読んだのはその前のオリジナル版です。ラストはプロローグとの結びつきがあいまいで気になることは確かですが、読者の想像にゆだねるこのままの形でもいいと思いました。

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