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ミステリの祭典

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月と手袋

作家 江戸川乱歩
出版日1959年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2024/03/10 14:22登録)
花田警部が探偵役を務める倒叙作品だから、同年(1955)作の「十字路」と兄弟みたいな作品である。文章はあっさり。ふとした弾みで高利貸を扼殺してしまった脚本家が、高利貸の妻の元タカラジェンヌ(元男役)と共謀して現場偽装によってアリバイ工作する話。内容以上にいろいろと面白いポイントが多い。

いややはりこれが戦後の乱歩がファイトを燃やした遠隔殺人(目撃者=犯人)ネタであることは見逃せない。乱歩はどこだったかで密室パターンが出尽くしたことを理由とし、それに代わる不可能興味として遠隔殺人を推奨していたよ。結局遠隔殺人というネタはそれほど流行らなかったが、乱歩もいくつかの作品で採用しているし、たとえば笹沢左保の某作とか、やはり乱歩あってのアイデアのようにも感じる。
であと、本作だと明智小五郎が名前だけの出演。うんまあ確かに明智クンって少年探偵団以外だと扱いが難しい探偵なことは否定できない。「妖虫」とか「緑衣の鬼」っていかにも乱歩な作品なのに、わざと明智クンじゃないあたり、乱歩も動かしづらさを感じていたことだろう。この明智くんの「名前だけ使う」という技は、実は「大暗室」でもやっている手。
まあ「十字路」は乱歩取り巻きの渡辺剣次のシナリオのノベライズという舞台裏もあるのだが、いろいろ共通性の高い兄弟作の本作というのも、なかなか興味深いものがある。
(ちなみに本作中で、犯人がジョニ黒を愛飲するのが印象に残る。この頃から飲まれていたんだな~~評者の父もよく飲んでたが、最近思い出して飲んでみたら、おいしいなジョニ黒って)

No.1 4点 ボナンザ
(2014/04/07 22:15登録)
乱歩には珍しい作風。
明智は確か名前しか出てこない。

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