ランボー・クラブ 改題『血の色の記憶』 |
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作家 | 岸田るり子 |
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出版日 | 2007年12月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | |
(2024/08/01 13:33登録) 悪くはないが、こういう話は諸々の作家で何冊も読んだ。“曖昧な記憶” と言う題材は使い勝手が良いのだろうか。 “回りくどい” と作中人物も言っているが、その真相の説明が最後にドバーッと来て疲れてしまうのは、やはり書き方が拙いのだと思う。二件の殺人事件が “記憶の謎” のついでみたいに感じられてしまい被害者が気の毒だな~。 |
No.1 | 6点 | 空 | |
(2011/03/03 22:13登録) タイトルの「ランボー」は、散文詩『地獄の季節』等が有名な19世紀フランスの詩人アルチュール・ランボーのこと。 15歳の少年と私立探偵の2人の視点を章ごとに交互に配置していく構成の作品で、そのパターンは最後まで続きます。といっても、2つの話が最終的にどうつながってくるかが見所というタイプではありません。私立探偵の視点の方に、少々うるさいユーモアがあるのが好みではないのですが、視点交替はかなり効果を上げていると思います。 少年が非常に珍しい後天性の色覚障害という設定で、早い段階から医学ミステリ系だということは想像がつくようになっていますが、隠された秘密は悪くありませんし、疑惑が膨らんでいくサスペンスもなかなかのものです。最後の1ページも無駄なくまとめてありますしね。 しかしこの作者、『出口のない部屋』でも感じたのですが、謎めいた小説構成はいいのに、密室などの物理的不可能犯罪トリックの扱いがどうも冴えないのです。不可能性は無理に入れなくてもよかったのではないかと思えてしまいます。 |