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ミステリの祭典

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熟柿

作家 佐藤正午
出版日2025年03月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 3点 みりん
(2026/09/15 20:11登録)
轢き逃げをして刑務所に服役していた女性の波乱な人生。夫は妊娠中の妻に高速を運転させるし、妻は贖罪の意識も薄いし、子供の為のお金を盗まれてなぜか警察にもいかないし、とにかく登場人物達に苛立ちが募った。晴子叔母さんの柿のくだりも鶴子の不倫のくだりも物語の構成的に何の意味があったのかよく分からないし、結末も予定調和というか安直に感じた。
登場人物全員が好きになれなかった作品だが、それでも読ませてしまう力はある。

No.1 7点 HORNET
(2026/09/07 21:23登録)
 雨の夜、親戚の葬儀の帰り道に、警察官である夫を乗せた車で かおりは老婆を撥ね、轢き逃げの罪人となった。当時身ごもっていたかおりは服役中に息子・拓を出産するが、その息子は元夫に引き取られて生き別れに。出所後、息子に会いたいがあまり園児連れ去り事件を起こした彼女は、息子との接見を禁じられ、追われるように西へ西へと各地を流れてゆく。いつか息子に会える日は来るのか―心の中で毎日のように息子に呼びかけながら、かおりは孤独な生活を続ける―

 もちろん救護を行わずに逃げ、結果人を死なせたかおりの罪は重い。だが、その罪を背負ったまま、過去を隠しながら息子との再会を希望に生きる彼女の人生はあまりに切ない。読み手としては、そんなかおりと縁を切り、新しい妻を迎えて拓と暮らしている元夫が自分本位に感じて腹が立つが、かおりは「自分が悪かったのだ」という意識で、ただ耐えて暮らしている。孤独な人生を送るかおりに胸が苦しくなってくるが…最後に訪れる転機に、いくらか救われた。
 ひたむきに描かれる17年という長い歳月に読み手も没入する。読み応えのある一作。

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