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ミステリの祭典

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陽炎
短編レアセレクション 歴史・時代編

作家 松本清張
出版日2026年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 ALFA
(2026/09/28 07:28登録)
初期のレア短編を集めた四巻シリーズの一つ。こちらは歴史・時代編。
現代物の二巻「金庫」「氷雨」にくらべるとダントツに完成度が高い。
解説によると「点と線」以前は歴史物の方が多いとのこと。初期の清張は歴史小説家だったんだ。

気に入ったのは表題作「陽炎」と半七捕物帳のパスティーシュ「穴の中の護符」。
「陽炎」はなんと「西郷札」に続くデビュー第二作で、福岡県警の機関誌に掲載されたきり埋もれていた超レア品。藤沢周平をさらに硬質にしたような味わいがいい。
「穴の中の護符」は人を食ったような楽しい謎解きがまさに半七。
意地悪く本家との違いを探りながら読んでみた。本家半七の文体はセンテンスが短く意外にドライな味わいがある。一方こちらはやや長めのセンテンスに情景描写も入って後年の清張節に近い。むしろこちらの方が時代物らしい。

楽しめる短編集。

No.1 6点 kanamori
(2026/09/15 15:42登録)
”清張短編レア・セレクション”と称して今年の7月から中公文庫でシリーズで出ているテーマ別の短編集で、第3弾の本書は、時代・歴史ものが9編収録されています。「点と線」の大ヒットで執筆の中心が推理小説になる以前は時代小説を多く書いていたようで、その時期の作品が大半です。

編中で最もレアなのは標題作の「陽炎」で、1951年に福岡県警の機関誌に寄稿した”女敵討ち”がテーマの時代小説です。それを含め前半の収録作は、武士を主人公にしたものが続き、武士道や武士の生き様、逆に武士なのになぜ?というような、「半席」の青山文平のホワイダニットものを思わせる読み味の作品もありました。ただ、当時の清張がそういったミステリー的な趣向を意図して書いていたとは思えません。
歴史ものでは、肥後藩・加藤清正の孫で、江戸詰の三代目・光正のイタズラが藩の凋落を招く「五十四万石の嘘」と、家康の末男・忠輝の数奇な運命の「二すじの道」が印象的。
最後に置かれた「穴の中の護符」は、なんと半七捕物帳の完璧なパスティーシュで、謎解きミステリとしても驚きの出来映えでした。

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