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ミステリの祭典

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四日間の不思議

作家 A・A・ミルン
出版日2004年06月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 3点 E-BANKER
(2021/07/31 20:33登録)
「くまのプーさん」で知られるA.Aミルンが書いたミステリーと言えば「赤い館の秘密」が有名だが、ミルンが発表したもうひとつの長編ミステリーが本作。(そういう意味では貴重)
原作は1927年の発表。

~かつて暮らしていた邸宅に足をのばしたジェニー。そこで叔母の死体を発見した彼女は驚きのあまり、「凶器」の位置を変え、自分のイニシャルの入ったハンカチを落とし、さらに窓下には盛大に足跡を残してしまう。警察はジェニーを被害と加害の両面から捜すのだが、やがてくだされた真相は、ジェニーでさえ考えつかないものだった・・・~

これは・・・ミステリーというよりは「ドタバタ劇」だな。
ミステリーとしてのエキスだけを抜き出したなら、本作はせいぜい50ページほどの分量で収まる気がする。ということは、残りの300ページは「ドタバタ」を見せられる?ことになる。
これがなかなかダルい。

「赤い館の秘密」はかなり昔にジュブナイル版を読んだ気がするんだけど、もう少しミステリーっぽい面白さがあったような気がするんだけどな・・・
「ガチガチの本格ミステリーが一番の好物」という読者の方なら、本作は是非ともスルーすべき作品だ。何らかのトリックが仕掛けられているという訳ではない。真相も正直、腰砕け的なもの。
巻末解説の森英俊氏は「癒し系ミステリー」と本作を評されているので、なにかに癒されたい方はどうぞ。
私自身の評価としては・・・高くはできんなぁー
(ある意味、タイトルどおり「不思議」な小説)

No.1 7点
(2011/06/24 23:02登録)
―『赤い館の秘密』はA.A.ミルンが書いた唯一の長編ミステリである―
長い間信じられていたこの言葉は、本作を読み終えてみると結局やはり本当だったと思いました。
1933年発表の本作はミステリではなく、ミステリ風味のほのぼのユーモア小説とでも呼ぶべき作品で、いかにもプーさんの作者(『赤い館』のではなく)らしい仕上がりになっています。巻末の解説で警告もなく真相の完全なネタばらしをしてしまうなど、普通では考えられないことですが、本作の場合はそうしても問題ないと解説者は考えたのでしょう。
話の中心は、殺人容疑者にされてしまうと思ったヒロインの逃亡劇です。それに警察の捜査過程を挿入していくという構成だけ見ればサスペンス系統なのですが、雰囲気はひたすらのん気です。ハイキングの荷物を準備したり、干し草の上で寝たりといった場面、とぼけた会話など、もう明らかにプーさんの世界に近い感じです。警察の方でもむしろ彼女は誘拐された可能性が高いと思っているのですから、緊迫感の出る余地がありません。
この点数もそんなタイプの作品としての評価です。

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