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ミステリの祭典

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痛苦の聖母

作家 ジョン・ブラックバーン
出版日2026年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2026/09/26 17:10登録)
さて久々に訳されたブラックバーン、ということで期待しすぎたかな(苦笑)
本作ではいわゆる「ジャンルミックス」は控えめで、アクション・ホラーというかスリラー要素の強いホラーといったタイプ。ラムレイとかそんな感覚か。高慢で「嫌な」タイプの名女優の狂った野心と怪奇の合体。伏せられている要素はあるからそれがミステリ的な要素かもしれないけど、結構これ推測が付くんじゃないかな。
ノンシリーズ作なのでおなじみカーク将軍もマーカス卿もタニアも出ないから、新聞記者のハリーが主人公。というわけで「ウルトラQ」?激辛上司のフォレストがナイスキャラだけど。

なかなかヤマがかからないかな。盗みに入った三人組の盗賊が三人とも派手に狂死するとか、序盤の事件がショボめというのはあるよ。で意外に女吸血鬼バートリ伯爵夫人といえば、な要素がそれほど前面に出てないのが不満。評者とかエリザベート・バートリのファンみたいなところがあるからね(すまぬ)そういうファン根性で読むとちょっとガッカリ感。でもブラックバーンの通常営業といえばそうだ。まあクライマックスでハリーくんはモンスターから世界のピンチを救っちゃうわけで、「ブラックバーン=B級」という印象が出やすいタイプの作品かも。「それぞれの人にそれぞれの恐怖」という101号室問題、なんてネタをさらっとやってるのが、ちょっと理に落ちている?

というわけで、ノンシリーズで初心者読みやすい、スパイ・SF要素希薄、というあたりで入門作にはいいのかも。でも評者はちょっと物足りない。怪奇ではあるけども恐怖はマイルド。正面からエリザベート・バートリを扱ってほしかったな。

No.1 6点 kanamori
(2026/08/05 12:00登録)
”血の伯爵夫人”ことエリザベート・バートリの伝説に材を取った新作舞台「痛苦の聖母」が、ロンドンのペガサス劇場でまもなく初日を迎えようとしていた。主演のスーザン・ヴァランスは大女優ながら傲慢・不穏な性格で悪評があった。ゴシップ紙の記者ハリー・クレイは、暗い過去を持つ医師トレントンが彼女の元に出入りするのを目撃する。
また別の日、パブの隣のブースで窃盗団の三人組の、財宝の所在と遭遇した恐怖体験についての密談を漏れ聞いたハリーは、特ダネの臭いを感じ取り、彼らを追跡調査していると、次々と不審死に遭遇する。やがて事件はトレントン医師や女優のスーザンとの関連が見え隠れしてきた。精神科医ミリアムと知り合ったハリーは、悪夢のような事態を防ぐべく開演直前のペガサス劇場に向かう……………。

80年代以降のキングやクーンツが人気を博する前の、モダン・ホラーの先駆者とも言われる英国人作家ジョン・ブラックバーンの1974年の作品です。国際謀略スリラー担当の英国情報部カーク将軍や、バイオ・ホラー担当のレヴィン卿というレギュラーキャラクターが出てこない単発モノなため、かえって先が読めないというか、物語の全貌が分からない。伏線を効かせたミステリ要素が楽しめて、また怪奇趣向の強い作品です。翻訳既刊でいえば「闇に葬れ」に近い感じを受けました。
17世紀のハンガリーの伝説、「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリの悪魔じみた所業と、その後日譚が重要な要素になっていますが、本文で説明があるので知らなくても問題はありません。(ちなみに、島田荘司の「アトポス」にも不必要なほど詳しく書かれているw)

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