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ミステリの祭典

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天女の密室
嶋成シリーズ

作家 荒巻義雄
出版日1977年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2013/10/21 22:49登録)
荒巻義雄は初期の幻想的なSF『神聖代』を読んだことがあるだけで、80年台後半からの架空戦記シリーズには興味を持てず、といったところでした。本作は「伝奇推理小説」と銘打たれていますが、浦島伝説をアナロジー的に使っているとはいえ、伝説が現実と混ざり合うわけではなく、純粋なミステリです。美術に詳しい作者らしく、本作の主人公は画家で、画商や美術のパトロン的存在など、なかなか説得力があります。
2つの密室トリックとその関係には面白い発想があるのですが、事件解明部分の書き方がさりげなさ過ぎて、印象が薄くなっているのが惜しいと思いました。
途中でディクスンの『誰が蛇を殺したか』なんていう作品について登場人物たちが論じているのですが、これは『爬虫類館の殺人』で、原題直訳は「彼がペイシェンス(蛇の名前)を殺すはずがない」。読んだのは初版なので、後の版では修正されているのでしょうか。

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