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ミステリの祭典

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鬼門の村

作家 櫛木理宇
出版日2026年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2026/07/05 22:28登録)
大学生の友部は、社会民俗学の嘉形教授の依頼で、夏休みのあいだ山奥の村に滞在し、ラジオ番組に投稿された実話怪談の整理を行うことになった。
注意点は二つ、昭和三十年代に一家惨殺事件が起きた家に滞在すること。その土地の水やそこでとれた食物を口にしないこと。
何度返しても戻ってくる石、社(やしろ)を護る白い着物姿の子供、鳴り止まぬ羽音……整理を続けるうち、友部はこの村に隠されたおぞましい真実に迫っていく。
日本ホラー小説大賞出身作家、 初の本格ホラー長編。
Amazon内容紹介より。

櫛木理宇は村のホラーを書かせても上手かったです。主人公の友部は等身大の大学生として、至って普通な感じなのが良いんです、それによりリアリティも一層増してくるというもの。教授の嘉形とは通信可能であり、ミステリにありがちなクローズドサークルとは違います。なので閉塞感はありませんが、現代的な要素を取り入れているのも評価が高いですね。

前半は一見関係なさそうなラジオ番組への投稿を紹介していきます。それが次第に繋がっていき、遂には丑土村の悍まし過ぎる現実が明らかになり、物語は破局へと向かいます。ここに来て初めてこの作品の隠された狙いが明確になると同時に、ミステリ的要素を実感させられることになります。そう来たか、これは正にカタストロフィの始まりではないか、と思いました。
ただ、一家惨殺事件や謎の髪の毛、閉ざされた襖の向こうなど、何となく暈かされた様な所があり、読解力の乏しい私にとってはややモヤモヤした感じが残りました。

No.1 6点 kanamori
(2026/06/23 13:50登録)
大学生の友部は、社会民族学の嘉形教授の依頼で夏休みのあいだR県の山奥の村に滞在し、教授が担当しているラジオ番組の怪談コーナーに投稿された実話怪談の整理を行なうことになった。この高額のアルバイトの条件は、昭和30年代に一家六人の惨殺事件が起きた家に住み込むこと、そして注意点としてその土地の水や地元で採れた食べ物を決して口にしないことだった。作業を続けていくうちに、友部は村に隠されていたおぞましい真実に気付いていく。

最初はよくある因習の村を舞台にしたホラー・ミステリかと思っていましたが、あまり謎解きの要素になるような事件が起きることもなく、ラジオに投稿された実話怪談をオムニバス形式で紹介されていくのですが、その合間を縫うように、友部の廻りで不穏な雰囲気が漂い出します。具体的に書かない方がいいのでぼやかしますが、視覚、聴覚、臭覚、触覚を刺激し、怪異が少しづつ読者を包み込む様な書き方は独特な感覚で不思議な読み味があります。
ミステリ的な視点で読んでいると、やや消化不良感がありますが、ホラーとしては十分に及第点を与えられる。

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