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ミステリの祭典

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盾と矛

作家 方丈貴恵
出版日2026年03月
平均点6.80点
書評数5人

No.5 7点 虫暮部
(2026/07/07 16:33登録)
 本作は、作者得意の重層的な論理を、しかししつこくなる一瞬手前でスッと引く塩梅がなかなか好ましい。
 ただ、探偵も仕事人もあまり魅力的ではないと私は感じた。“好感が持てる「嫌な奴」” でもない。みんな変に拗らせている。
 特にヒミコは、“悪い罪” と “そこまで悪くはない罪” を分けて、しかも罪状そのものではなく犯行に至る動機や成り行きで線引きをしている。何かモヤモヤするなぁ。

No.4 7点 みりん
(2026/07/05 12:34登録)
手がかりを捏造し、犯人を逃す仕事人という設定でいつもの多重解決にスパイスを加えている感じ。連作短編ながら3章とも技アリの不可能犯罪というのは流石でどれも独創的な状況を作り上げている。3つ目が人気そうだが、個人的にはチープなトリックと探偵に腐されている1つ目の密室が結構好き。麻耶せんせーが帯で言ってるとおり、ライバルとの対決がこの終わり方はズルい。もっと読みたかった。

No.3 7点 パメル
(2026/07/02 09:50登録)
罪を犯した者を絶対に逃さず有罪にする車椅子探偵・草津正守と、腕っぷしの強い助手の霧島平太郎。事件を隠蔽・捏造することで、依頼人である犯人を確実に無罪にする仕事人の氷見朱鳥ことヒミコ。
ある日、雪山の別荘で密室殺人事件が発生する。事件解決と思われた矢先、決定的な証拠が消失してしまう。一旦、謎が解けてから始まる上書き推理合戦。「犯人か分かってからが本番」という逆転の発想が新鮮で、一度完成した推理を敵によって物理的・論理的に壊された後で、どのように再び追い詰めるかという過程がスリリングで、多重解決ミステリの新しい形として楽しめる。
草津と霧島のコンビがとても魅力的である。草津は「悪運の持ち主」という設定とも併せ、名探偵でありながらその不完全さが人間としての魅力に繋がっている。一方の霧島は荒事を担当する実働部隊のような存在。この「知」と「暴」の役割分担が、一般的な名探偵ものとは少し違う読み味を生んでいる。
探偵、助手、仕事人の3人が中学時代の旧知の中であるという設定が、物語に深みを与えている。事件が進むにつれて明らかになる彼らの過去や、ヒミコの真の目的、そして最後に待ち受ける切なくも爽快な展開は、予想外で結末に心を動かされた。本格ミステリのロジックを楽しめるだけでなく、アクションやライバルとの対決といったエンターテインメント要素が非常に強い一冊となっている。

No.2 6点 寿司芸者
(2026/04/24 11:44登録)
良作だとは思う。

探偵側と隠蔽側が競う設定は独創的であり、推理で明らかになる事実は意外性に富んでおり、テンポよく読めて、楽しめた一作。ラスト、もうひと捻りの展開があれば、更に満足でした。

文体や描写には、幼さを感じる個所も多々。”ミステリーはトリックが醍醐味”は否定しないが、軽く浅く見えてしまう描写は雰囲気を壊してしまうのも事実。


No.1 7点 mozart
(2026/04/18 19:14登録)
探偵(草津)と助手(霧島)そして敵?(氷見)の関係性が一風変わっていて第一章から第二章まではわりと普通のミステリーとして楽しめました。まず事件の(密室殺人などの)謎が草津によってあっさり暴かれた後で、氷見の「事後工作」によりそれが無効化されてしまうものの、結局草津と霧島が「知」と「暴」の合わせ技で解決(氷見の敗北)に至る、と。
ところが第三章であのような結末へまとめられてしまうとは……。確かに前の章や過去のエピソードとかでも伏線はいろいろありましたが、三人の関係性は少しずつ変わりつつも話はこの後も続いていくと思っていたので、衝撃というか少し残念だったというのが正直な感想です。


一応二人は探偵業を続けて行くようなので続編があるのかも知れませんが、その時は碧も何らかの役どころで再登場させて欲しいと個人的に思っています。もちろん氷見のスピンオフストーリーでも良いですが。

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