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ミステリの祭典

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百年文通

作家 伴名練
出版日2025年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2026/03/07 22:34登録)
扉の向こうに、永遠を見つけた。
女子中学生の小櫛一琉は、引き出しに入れたものが百年前に送られる不思議な机を発見する。そうして机を通じて手紙を送ってきた大正時代の少女・日向静と文通をすることになるが、仲を深める二人の間に時代の荒波が立ちはだかる――ふたつの時を越えて描かれる感動作。
Amazon内容紹介より。

惜しむらくはその短さ。折角の好編なのに、あまりにも纏めすぎてちょっと窮屈な感じになっている気がしてやや残念です。まだページが残っていると思っていたら、あっさり終わってしまいました。その分あとがきが長い、そんなSF作品の紹介なんていらないからもう少し本編を読みたかったなと言うのが正直なところです。

最初は些細な――と言っても実際は大事件なのですが――事柄が次第に時代を揺るがす、スケールの大きなストーリーに発展していきます。SFファンには勿論、例えばラノベ読者なんかにも読んでいただきたい作品に仕上がっていると思います。しかし主人公の一琉の妹美頼の性格の悪さには嫌悪感を覚えますねえ。それにしても時折訪れる高揚感は何なのでしょう、見知らぬ少女同士の時代を超えたやり取りに心を揺さぶられる何かがあったのかも知れません。感動したというのとはちょっと違う感情ですが、自分でも上手く表現できません。

No.1 8点 虫暮部
(2026/02/27 17:21登録)
 おいおい無茶するな。タイム・パラドックスを歯牙にもかけず驀進する少女達が痛快極まりない。ここまでやるか。勝てば官軍座れば牡丹恐れ入谷の鬼子母神。
 静が美頼に啖呵を切る場面は何度読んでも笑えて泣ける。静の背後にちょっと出て来るだけの大正時代の女学生達のイメージも生き生きと感じられた。
 語り手の素性をちょっと叙述トリック的に扱ってたり、“箱” の伏線が最初から張られていたりと、ミステリ的文法も嬉しい。

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