home

ミステリの祭典

login
暴走正義

作家 下村敦史
出版日2025年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 まさむね
(2026/01/02 17:30登録)
 前作「逆転正義」よりも、テーマを強く押し出している印象で、深く考えさせられます。「正義」ってのは難しいものですねぇ。「これが正義だ」と考えること自体はある意味で大切なのかもしれないけど、視野狭窄に陥ったり、自分の正義と異なる意見を徹底的に排除したりすることって、あり得ますよねぇ。SNSとかで発信できて便利になったけど、逆に面倒な世の中になったなぁ…とあらためてため息をつくワタクシでございました。
①暴露系:もはや社会問題を超えている感のあるSNSに関する問題。何とかならんものか。
②報道加害:週刊誌報道の課題。一種の爽快感とともに確かに残る苦み。
③エスカレート:ストーカーに対する警察捜査のあり方。内容としては…怖いな。
④誤認逮捕:同種の事例、確かに前にあったよね。短編の構成としても良。
⑤再犯:性犯罪の再犯がある地域で増えている…。再犯防止のあり方を考えさせられつつ。とある〝動機〟は果たしてあり得るのか?とも。
⑥死刑反対:死刑制度のあり方。反転は抜きにして考えさせられました。
 ちなみに、各短編の中に「逆転正義」の登場人物が登場しているらしいのですが、全然分かりませんでした(作者が「遊び心のサービス」として冒頭で紹介していました)。登場人物名までは覚えていないですねぇ。

No.1 7点 HORNET
(2025/12/26 23:48登録)
 SNSで人の悪事を晒してアクセスを稼ぐインフルエンサー、スクープを目的に頼りない情報で事件記事を書こうとする週刊誌記者、「事件が起きないと警察は動いてくれない!」と不満をぶつけるストーカー被害を訴える女性、「性犯罪者の再犯を防ぐ」とうたう更生プログラム…間違ったこと・人は許さない、糾弾すべきだ一億総”正義の暴走族”時代を。今日もスマホを握りしめ怒っている「正義系」の人たちを描く短編集。

 令和の社会病理(?)を非常に上手く掬い上げ、趣向を凝らしたまとまりのある各話。6話それぞれの切り口もよく、作者の技量の高さを改めて感じる短編集である。


<ネタバレ>
 特に印象に残ったのは「再犯」。再び罪を犯さないために「遠ざける」というやり方が、かえって欲求を高めてしまうというパラドクス。そういう話の仕組み方に唸らされる。
 読んでから知ったが、1作目があるとのこと。読もうと思う。

2レコード表示中です 書評