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ミステリの祭典

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名探偵登場 5
早川書房編集部 ノーブル、聖者、トラント警部、マローン、マーリニ、謎の旅行者、アーチャー、スミス、マリナー

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1975年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 クリスティ再読
(2025/10/31 15:07登録)
さて早川版の「世界短編傑作集」である「名探偵登場」。第5巻は「すこし毛色の変わった人物を中心にえらんでみた」と解説にある。まあ第4巻で評者でも「カブリの多い巻」と言っちゃったくらいにオーソドックの度が過ぎた巻でもあったからね。今回の既読作はアーチャー登場の「女を探せ」だけ。秀作だからいいよ。

・A.バウチャー「パルミエリ伯のように」
SPレコードコレクターの妄執による犯罪。探偵役はアル中で退職した元刑事のニック・ノーブルで、なかなかキャラ良し。
・チャータリス「神の矢」
ご存知「聖者」。砂浜で寝ていた男の上にビーチパラソルが刺さって死んだ!という一件。トリックは想定内だが、まあよくできている。
・Q.パトリック「さよなら公演」
ギリシャ悲劇「メディア」をさよなら公演に選んだ女優の部屋に転がった死体。トラント警部は容疑者筆頭の女優にさよなら公演に出演するのを許す...
・C.ライス「うぶな心が張り裂ける」
ご存知マローンの初登場作だそうだ。マローンが弁護して審理のやり直しを勝ち取った青年が獄中で自殺。マローンは刑務所ソングが耳について離れない...「網走番外地」とか「練鑑ブルース」みたいなのがアチラにもあるんだね。これは雰囲気があって小説としての出来がいい。
・C.ロースン「入れ墨の男と折れた脚」
グレート・マーリニ登場の推理パズル二編。
・ロバート・アーサー「大金」
「謎の旅行者」というわけのわからないキャラが話し手みたいに振る舞う犯罪物語。ちょっと異色、というか「幽霊紳士」の元ネタなのかな?
・R.マクドナルド「女を探せ」
いわずとしれた秀作。中田耕治氏の訳が凝り過ぎかな。
・F.ブラウン「スミス氏、顧客を守る」
甘目だけど監視型密室。「最後の一行もの」で全面解決だけど、これがバカミスの味わい。保険勧誘員スミス氏が探偵役(保険調査員ではない!)。
・P.G.ウッドハウス「名探偵マリナー」
ウッドハウスらしいユーモアと皮肉の話。今回マリナーは別に名探偵じゃない(苦笑)

とバラエティがある。やはり6巻では「ハードボイルド派」の「名探偵登場」を予告しているから、そっちもやりたいな。

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