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ミステリの祭典

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空に浮かぶ密室
ジョセフ・スペクター

作家 トム・ミード
出版日2025年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2025/11/19 07:20登録)
(ネタバレなしです) 2023年発表のジョセフ・スペクターシリーズ第2作の本格派推理小説で作中時代は1938年です。シリーズ第1作の「死と奇術師」(2022年)の袋綴じ本の趣向はありませんけど、「読者への挑戦状」に相当する幕間「読者よ、心されたし」が前作同様挿入されていますし、手掛かりの所在ページを教える手掛かり脚注も付いていて読者に対するフェアプレーの姿勢を強調しています。密室状態の殺人現場に被害者と2人きりの容疑者とか、奇術ショーの舞台上で突然出現した死体とか謎の魅力も十分です。複雑すぎる真相は読者が気に入らないと感じてしまう懸念もありますけど、どんでん返しの鮮やかさには個人的には脱帽です。巻末の作者謝辞では探偵小説の黄金時代の再現にどれだけ気配りしているかを説明しており、過去の大家への尊敬と共に古き良きミステリの魅力を現代に伝える作家も紹介しています。ミードと共に彼らの作品が積極的に翻訳出版されることを強く望みます。

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