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ミステリの祭典

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白魔の檻

作家 山口未桜
出版日2025年08月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 6点 パメル
(2026/05/18 08:25登録)
研修医の春田は、医師の城崎と共に北海道の山奥にある病院へ派遣される。ところが到着後、病院一帯は濃霧に包まれ、さらに地震により硫化水素ガスが流れ込んでしまう。この極限状況の病院で次々と不可解な犯罪が起こる。
濃霧、地震、有毒ガスという三重の災厄が重なり、病院が完全に孤立する設定が災害パニック小説のような緊迫感で惹きつけられる。また作者が現役医師であるため、カルテの扱い、専門用語を用いた処置、限られた医療器具の対応など、医療現場の描写にリアリティがある。
頑張れば頑張るほど報われないという過疎地医療の厳しい現実や、命の選択を迫られる医療従事者の葛藤など、社会的なテーマも深く描かれており、単なる犯人探しに終わらない重厚な人間ドラマとして満足度が高い。ただ舞台設定は強力だが、それぞれの要素がストーリーに最大限絡んでいるかというとやや弱さを感じてしまう。ミステリとして、もうひと捻りほしかった。

No.3 6点 肥し
(2026/05/06 11:18登録)
濃霧で孤立した山奥の病院で起こる密室殺人。迫りくる硫化水素と周りが霧でまったく見えないという設定は楽しめた。地方医療の現実など社会派的な側面もあり、医療現場の描写もリアルで良かった。一方、ミステリとしてはやや複雑で、ロジックが少し判りにくかった。

No.2 8点 mozart
(2025/12/30 18:51登録)
前作の読後感は(ちょっと重すぎて)余り良くなかったけれど、本作は現代医療の深刻な問題を描きつつも所謂本格色(?)がしっかりあって、ミステリー好きとしてはとても楽しめました。探偵役の城崎響介が真相を明らかにしてヒロイン(?)の春田芽衣とともに犯人と対峙する場面はちょっとベタな展開でしたがこれはこれでありかと。舞台がクローズドサークルとなるご都合主義(?)もこの手の作品に対してはそれほど目くじらを立てるべきものではないと思うし。

どうでもよいことですが冒頭の登場人物一覧表もこの程度の人数ならさして驚きませんが、何頁にもわたる病院の見取り図や何十名にもなる入院患者全てのフルネームを見た時にはさすがに戦慄を禁じ得ませんでした(確かに推理をする上で必要な情報も含まれていたのだけれど)

No.1 7点 虫暮部
(2025/12/28 16:29登録)
 現代日本の医療制度に関する内部告発小説にしてパニック小説。犯人特定のロジックは細かくてちょっときつかった。と言うか、スリリングなパニックの展開に気を取られて、人の動きのアレコレまでは頭に残らない。作者の言いたいことは全部書きますと言った感じで、盛り沢山に過ぎる。
 ああいう論理展開が可能なら、殺人事件だけに絞ってもっと純粋なパズラーにしても良いのに。と私などは思ってしまうが……。

 あと、ミステリである以上、町長の件を曖昧なまま残してしまうのは如何なものか。あのエピソード、どうしても必要だろうか?

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