| 小路の奥の死 ハービンダー・カー警部 |
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| 作家 | エリー・グリフィス |
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| 出版日 | 2025年10月 |
| 平均点 | 4.50点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 5点 | 人並由真 | |
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(2025/12/28 09:31登録) (ネタバレなし) 読んでる間は結構、面白かった。 さらに良い意味であれやこれやと読者を振り回しながら、終盤に向けて少しずつキャラクタードラマを整理していく話の作りはなかなか達者だと思える。 で、まあ、肝心の真犯人は確かに意外だが、一方で正にnukkamさんのおっしゃる通り、そんなモン、後出しされてもナー、という気分である。1920年代辺りの、謎解き小説としての整合性なんか二の次で、とにかく読者を「あ」と言わせればいいんだ、というような感じの作品。 アニー・ウィルクス(キングの『ミザリー』の)あたりが本書を読んだら、「そんなのおかしいわよ!」とマジメに怒るのではないか(うんうん同感)。 ミステリ作家としての作者の心得違いを、現在形のCWA所属の面々が「あのね、グリフィスちゃん、そもそも謎解きミステリというのはね……」と諭してあげてください。 シリーズ第4作目がどんなモンになっているか、楽しみな反面コワイ、いやコワイ反面、楽しみです。 |
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| No.1 | 4点 | nukkam | |
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(2025/12/01 23:51登録) (ネタバレなしです) 2022年発表のハービンダー・カーシリーズ第3作の本格派推理小説で、「窓辺の愛書家」(2020年)ではサセックス警察の部長刑事だったハービンダーが本書では警部に昇進してロンドン警視庁に配属されています。部下が4人いますがその1人キャシーが大学の同窓会で起きた殺人事件の容疑者の1人となる設定で読ませます。21年前の大学生時代に起こった学生の怪死事件との関連性が浮かび上がって謎は深まりますが、複雑な人間関係と感情を抑えた人物描写のため物語としての起伏が乏しく、読者は集中力を求められます。第44章の終盤でのハービンダーの「(ある登場人物が)それがなんなのかわからなかった」と説明した真相は個人的には納得し難くてすっきりできませんでした。なぜ警察は初動捜査で「それ」について見落としていたのか、そしてなぜハービンダーは気づいたのかの補足説明が欲しかったです。 |
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