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ミステリの祭典

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国会採決を告げる電鈴

作家 エレン・ウィルキンソン
出版日2025年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2025/12/24 11:30登録)
(ネタバレなし)
 1932年の英国作品。
 確かに裏表紙の通り、二つの世界大戦の間のリアルな国情は感じられるし、翻訳の良さもあって序盤はそれなりに面白い。
(特にメインヒロインのひとりのアネットが、問題発言を放つあたりまで。)

 ただ中盤からはフツーの素人探偵たちが足で事件を追い回す流れの上、いかにもお約束的にお話の中だるみを押さえました、という感じで起きる小さな事件など、本当にどっかで(というより悪い意味であちこちで)読んできた、水準作~佳作のミステリのパッチワークという印象。

 終盤の事件の真相はちょっと面白かったが、nukkamさんのおっしゃる通りにその情報の大半は後出しで、ミステリの完成度としてはあまりホメられたものではない。気の抜けるようなトリック(といえるのか?)は、実はまあキライではないのだが。

 他種業作家の書いた、それなりに商品性のあったセミプロミステリというところ。
 佳作の中くらいかな。

No.1 5点 nukkam
(2025/11/13 22:05登録)
(ネタバレなしです) 英国のエレン・ウィルキンソン(1891-1947)は政治家で、アトリー内閣(1945-1951)の時代には教育大臣を務め(在任中に死去)、彼女の名前を冠した女学校がロンドンに設立されています。本書の論創海外ミステリ版が出版された時点での国内Wikipediaには政治活動しか紹介されていませんが小説2作(1作は非ミステリー)、ノンフィクション系を数作(共著もあり)書いたようです。本書については国会議員時代に書かれたように表紙で紹介されていますが、厳密には1931年の選挙で落選して1935年の選挙で再選されるまでの間の1932年に発表された本格派推理小説です。ビッグ・ベンの鐘の音と国会採決を告げる電鈴の響き、そして銃声が重なり内務大臣との会食を終えた直後の米国の富豪の死体が発見されます。舞台が国会議事堂ということでスタンリー・ハイランドの「国会議事堂の死体」(1958年)と読み比べたい読者もいるかもしれません。ハイランドよりは読みやすいものの手探り感の強い捜査が続く展開はいささか焦点が定まっておらず、手掛かりが後出しの解決は唐突ですっきりできませんでした。政治家のミステリー作品という希少性は認めますが本格派としての完成度は高くないように思います。

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