home

ミステリの祭典

login
カオスコープ

作家 山田正紀
出版日2006年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2016/11/11 11:28登録)
 認識論、存在論、脳地図といった“山田正紀用語”は“確立された個性”か“ネタの使い回し”か微妙なところだが、一応の整合性を維持してミステリに着地しているのは立派。複数の殺人事件が些細な枝葉に思える遠近感の狂ったヴィジョンに呑み込まれる快感。
 でも正直に言えば、冒頭の「大鴉」談義が一番面白かった。

No.1 6点
(2012/11/20 20:57登録)
山田正紀は何冊か読んだことがあるのですが、それらは『神狩り』を始めすべて純粋なSFでした。で、本作はというと、書き出し部分からしてやはりSF的(精神医学中心)な感じがつきまとうミステリです。二つの視点から交互に描いていって、どう関連付けるかというタイプ。
一方の主役は記憶障害だということで、ほとんど支離滅裂な記憶の断片、それも実際の記憶かどうかも分からないことが語られていきます。この部分がカオス(混沌)的雰囲気を出しています。一方の刑事からの視点部分はもちろん一応まともですが、それでも彼のキャラクターはちょっと変。
最終的な結論には多少整合性に欠ける部分があるようですが、まあいいでしょう。それより真相説明部分と脱出の安易さが気になりました。最初にゴミ捨て場で出てくる老人の正体は、はっきりとは書かれていませんが、う~む、やっぱり山田正紀だ。

2レコード表示中です 書評