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ミステリの祭典

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9人はなぜ殺される

作家 ピーター・スワンソン
出版日2025年06月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 メルカトル
(2025/09/21 22:16登録)
アメリカ各地の9人に、自分の名を含む9つの名前だけが記されたリストが郵送された。差出人も意図も不明。だがその後、リストにあったホテル経営者の老人が溺死。翌日、ランニング中の男性が射殺された。FBI捜査官のジェシカはリストの人々の特定を進めていた。自分も、死んだふたりと同じリストを受け取っていたのだ。次は誰が殺されるのか? 謎が横溢する極上のサスペンス!
Amazon内容紹介より。

まあまあですかね。全体の8割以上がリストに名前を書かれた人々の日常が淡々と描かれているだけで、どの辺りがサスペンス?と言いたくなる内容。殺害シーンも数行で終わっており、正直言って面白味がありません。そんな時私は心を無にして読み進めます。でないと先に行けないから。これを日本のミステリ作家が書いたらもっと楽しめただろうと思いました。

これだけの大事件なのに、警察の動きが全く描かれていないし、マスコミも無反応というのはやはりどこかおかしいです。劇場型犯罪でありながら、命を狙われた人物は普段と変わらぬ生活をしていて、警護も殆ど付いていないのにも疑問を覚えます。己に危機が迫っている割にはほとんどが動揺した様子もなく、如何にも不自然と言わざるを得ません。
肝となる何故リストの9人が殺されなければならないのか、という所謂ミッシングリンクの謎は、切実ではあるものの新味はありません。乱暴な言い方をすれば最初と最後だけ読めば大筋は掴めるでしょうって感じです。

No.1 8点 HORNET
(2025/08/30 23:10登録)
 アメリカ各地の、何のつながりもない9人に、自分を含む9つの名前だけが記されたリストが郵送された。不気味に感じて気にする者もいれば、意味が分からず捨ててしまう者も。だがその後、リストにあったホテル経営者の老人が溺死。翌日、ランニング中の男性が射殺された。自身もリストを受け取ったFBI捜査官のジェシカは、捜査を始める。いったい、9人には何かつながりがあるのか?犯人の目的は?

 クローズドサークルの状況ではないものの、つながりの分からない、挙げられたメンバーが一人一人殺されていく様は「そして誰もいなくなった」さながら。それは作品でもそのことが扱われ、要所要所で「テン・リトル・インディアンズ」がアイテムとして登場する。
 特に奇抜な仕掛けがある作品ではないが、「この9人はなんなのだ?どんなミッシング・リンクが隠されているのか?」とワクワクしながら読み進めてしまうリーダビリティがある。近年サスペンスの一角を担う作家として存在を確かにしてきている作者だが、期待を裏切ることのないクオリティ。

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