home

ミステリの祭典

login
食刻

作家 柾木政宗
出版日2025年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2025/05/05 22:25登録)
早乙女真琴(さおとめまこと)は新進気鋭のアーティスト。高校在学中に美術評論家・影塚孝志(かげづかたかし)の薫陶を受け、日本最高峰の美術大学の絵画科で銅版画を学び頭角を現した。影塚は画壇に君臨し、評価した作品は軒並み価格が高騰、作者は時代の寵児となることが確約されるほどの力を持っていた。影塚の援助とその代償を払い早乙女はさらなる高みを目指すが……。
Amazon内容紹介より。

人間を描くというのはこういう事なんだと思いました。しかしながら決して人には薦められません。その理由は後で述べます。もし奇特な方が読もうとするなら、気力体力が充実している時に読まれる事をお勧めします。
デビュー作からは考えられない、暗くて重いトーンの作品です。これは最早純文学と称しても良いのではないかと思う程品位があります。それなのに内容は暴力と腐蝕に満ちた、ある意味危険なものであり、ミステリ的仕掛けすら施されています。これが征木政宗の本当の姿なのか見極める為、今後も注視していきたいと思います。






【ネタバレ】







まあネタバレというほどではないかも知れませんが、一応本作を語る上で重要なピースだと判断しここで書く事にしました。
この作品では主人公である早乙女真琴とそのパトロンである影塚高志の、男性同士の性行為が克明に何度となく描かれています。エロティシズムと言って良いと思いますが、そう云った描写が苦手な方は注意が必要です。
又、ある種の叙述トリックが用いられています。そしてエピローグでは衝撃的な結末を迎えます。ここで伏線が回収され事前に用意された何気ない事柄が生きて来ます。

1レコード表示中です 書評