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ミステリの祭典

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月射病
シムノン ロマン・デュール選集

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日2025年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2025/04/25 19:35登録)
1933年、メグレ以外のRoman dur最初期作品です。舞台はアフリカ中西部のガボン、主役のジョゼフ・ティマールが伯父の口利きで、首都リーブルヴィルに赴任してくるところから始まります。監修・解説の瀬名秀明氏によれば、パリの霧も雨も出て来ず、「読者の目には異色作と映る」かもしれないが、「旅の作家」であるシムノンにとっては「人生の方向を決めるほど重要な一篇」だということです。
第1章最後でホテルの黒人ボーイが殺され、その犯人は途中で判明、エピローグ的な最終章の前の章はその殺人事件の裁判、という構成であるにもかかわらず、あまりミステリっぽくない話の作りになっています。いくらフランス植民地時代のアフリカでも、こんなでたらめな裁判があり得るのかと思えますし、なんとも居心地の悪くなるような結末です。
なお、単に「月明り」とも訳せるタイトルの言葉は最終章で出てきます。

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