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ミステリの祭典

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月射病
シムノン ロマン・デュール選集

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日2025年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2026/02/06 23:15登録)
(ネタバレなし)
  あらすじと断片的に目についた作品解説、さらにネットでの感想&ウワサなどから<広義のミステリとはいえる、事件性のある小説>を予期して読み進む。その意味では、いつもの(大半の)非メグレもののシムノンの一冊。

 で、実際にその通りの作品なのだが、中盤はアフリカの奥地での黒人現地人の文化描写がやや長めであった(といっても大した事はなく、読むこっちの辛抱が足りないだけかもしれんが)。  
 しかしながらヤマ場で物語のコアに分け入るあたりの手応えは、正にいつもの&のちのちの、シムノン。主人公のジョゼフ・ティマールは、ある意味で、<異国の地でメグレに会えなかった若者>であった。

 ラストの叫びなど生硬だな~と思えるところもあるが、それもまた本作の個性ではあろう。

 たぶんシムノンの非メグレものの中でも上位にくることはないと思うが(作品の出来不出来というより、単に作者の著作の絶対数が多すぎるため)、シムノンに薄く長く付き合ってきた者として、記憶の片隅に残したい一編。

 巻末の瀬名先生の解説はとてもお勉強になると同時に、良い意味でのファントークで非常に楽しい。 

No.1 6点
(2025/04/25 19:35登録)
1933年、メグレ以外のRoman dur最初期作品です。舞台はアフリカ中西部のガボン、主役のジョゼフ・ティマールが伯父の口利きで、首都リーブルヴィルに赴任してくるところから始まります。監修・解説の瀬名秀明氏によれば、パリの霧も雨も出て来ず、「読者の目には異色作と映る」かもしれないが、「旅の作家」であるシムノンにとっては「人生の方向を決めるほど重要な一篇」だということです。
第1章最後でホテルの黒人ボーイが殺され、その犯人は途中で判明、エピローグ的な最終章の前の章はその殺人事件の裁判、という構成であるにもかかわらず、あまりミステリっぽくない話の作りになっています。いくらフランス植民地時代のアフリカでも、こんなでたらめな裁判があり得るのかと思えますし、なんとも居心地の悪くなるような結末です。
なお、単に「月明り」とも訳せるタイトルの言葉は最終章で出てきます。

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