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ミステリの祭典

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覚悟
新・競馬シリーズ/シッド・ハレー

作家 フェリックス・フランシス
出版日2025年05月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2026/10/17 12:10登録)
D.フランシスの競馬シリーズが帰ってきた!
しかも主役はあのシッド・ハレーだ! 胸アツではないか?
2013年の発表。

~伝説の名シリーズ、復活。英国スリラーの誇り高き正統。ミステリー史に残るヒーローとともに〈新・競馬シリーズ〉の幕が開く。落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……~

競馬シリーズは以前一作目の「本命」から順に手に取っていた。ただ途中から作品の手に入りにくさもあって、結局挫折・・・今日に至る、だった。
で、新競馬シリーズとなる本作は、次男フェリックスの筆によるもの。でもさすがに血のつながった親子。あの興奮が蘇ったように感じた。まあそれだけ競馬シリーズの「コード」を踏まえた作品ということである。
お約束とも言える終盤のピンチシーンは今回も登場。裏をかかれたハレーが大慌てで戻ると宿敵がうまい具合に現れ、見事にやり返す。この辺は安直といえばやや安直。
競馬界全体に関わる不正というのも、シリーズ頻出のプロットで、今回もそれが事件の裏の構図となる。ただ、これも特に複雑な仕掛けがあるわけではない。

ということで、込み入ったプロットで楽しむというより、シリーズファン向けのまずは挨拶代わりといった趣旨かな。
当然、私は楽しめたし、またシッド・ハレーの活躍を見たい。「片腕の件」も気になるしね。

No.1 7点 人並由真
(2025/07/08 07:28登録)
(ネタバレなし)
 競馬界の辣腕調査員として名を馳せたシッド・ハレーは二度目の結婚をし、今は愛妻と6歳のおませな愛らしい娘と、幸福な家庭を築いていた。だが現在46歳のハレーは、悪人からの報復で家族や元・義理の父チャールズ・ロランド提督(すでに83歳)が身の危険に晒されることを警戒し、調査員稼業を引退。現在は日々の好調な金融取引で、順当に生活費を得ていた。そんな時、英国競馬統括機構(BHA)の会長リチャード・スチュアートがハレーを訪ね、スチュアート自身が不審に思ったある案件を持ち込んでくる。同件はBHA保安部でも審議されたが特に問題なしとされたもので、だが尚も疑念が残るスチュアートはハレーに状況の洗い直しを願いたいようだ。ハレーは調査職からは引退したと答えつつも、この話に関心が生じていく。だがその直後、局面は新たな展開を見せた。

 2013年の英国作品。「競馬シリーズ」の創始者・父ディック(小説執筆の実働は奧さんメアリだったと21世紀になってからウワサされるが)の逝去後、今は息子フランシスが執筆する、親子二代にわたるシッド・ハレーものの通算・第5弾(フェリックスの担当作としてはこれがシリーズ内での1冊目)。

 当方はシッド・ハレーシリーズは、『大穴』『利腕』は順当に消化。3作目『敵手』も読んでいるハズだが、ほとんど記憶にない(実は、あのシーンが『敵手』のものだったのかな? と、思い浮かぶような場面もあるのだが、本当にそれが正解かは心もとない)。で、あまり評判のよろしくない第4弾『再起』は確実に未読で、そんな前提のなかで、今回の、日本語で読める久々の新訳作品に付き合う。

 それで正直、途中までは面白いことは面白いんだけど、主人公ハレーが半ば巻き込まれるように事件に関わり、調査を続けていくうちに競売界のならず者から脅しを受け、自分と家族に迫る脅威に恐怖&警戒~でも克己、の完全なおなじみパターン。いくらなんでもこれはね、とも感じたりもした。
 が、中盤辺りからの悪党のやり口がどんどんエゲツなくなり、そっからはなかなか、加速度的に盛り上がってくる。うん、やっぱり結構、楽しめる(笑)。なんのかんの言っても4時間弱で、イッキ読みではあったし。

 とはいえレギュラーキャラのハレーだと、あんまり羽目を外した大技での対抗・決着はできないだろ、反則技やダーティプレイでの反撃もしにくいだろと予想してしまい、その辺は良い面もあれば良くない面もあったり。
 父親ディックの後期正編・競馬シリーズの中では、単発で一回こっきり、悪く言えば使い捨てで、後先を考えないからこそ<そーゆー種類の決着>もできた、という感じの主人公もタマにいたんだけど、今後も続投するであろうハレーはそういう自由度はないだろうしな、と観測しちゃったりする。
(でもそういう風に考えてみるなら、それなりにちょっとギリギリぽい面がないでもないクライマックスかな、今回は。)
 
 あとサイドストーリーとしてハレーの隻腕設定についてかなり大きな進展があり、その辺の流れがどうなるかは読んでのお楽しみ。もちろんここではあまり詳しくは書かない。
 かたや一方、ある案件についての説明がちょっと不足してんじゃないの? と思わせるところも見受けられ、その辺は息子が筆の勢いのノリのなかで、ついうっかりしちゃったんかいな? という感じもするが、まあ、読み手側の解釈で補える範疇かな。

 いずれにしろ、10年ぶりの息子版「競馬シリーズ」の新訳、ありがとうございました。
 とりあえずあと2冊は続いての翻訳が内定してるみたいだけど、できるなら未訳分全冊の邦訳を、ぜひともお願いいたします。

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