パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件 |
---|
作家 | 南海遊 |
---|---|
出版日 | 2025年02月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | |
(2025/06/20 11:50登録) ネタバレあり。 面白かったことは確か。しかしこの錯綜した物語を、読者が的確に把握出来るように、作者はもっと心を砕くべきではないか。ちょっとお高くとまり過ぎである。だからこちらは判らない部分を色々考えてしまうのである。 過去の事件について。“19秒” と言う、あまりと言えばあまりな時間的不可能性。これは寧ろ、最大の手掛かりとして機能していないか。 だって無理でしょ19秒って。ならばどの部分に欺瞞があるかと言えばあそこしかない。すると現場に入れるのは誰か、で犯人は概ね確定する。あの状況であのトリックを選ぶのは実は自殺行為である。 犯人側としては、いざとなれば全て力尽くで片付けると言うスタンスで、密室トリックは作中で述べられているように本当に感傷だったのだろう。しかし、“負けそうになったら盤を引っ繰り返せばいいや” と言う気持の対局を見せられるのは愉快ではない。 ついでに意地悪なことを書くと、研究所にAIが存在するのにトリックに用いなかったのは、そうすると “会話の齟齬” と言う手掛かりを残せない作者の都合? |
No.1 | 6点 | 文生 | |
(2025/04/02 17:13登録) 前作『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』のような特殊設定ミステリを期待するとちょっとがっかりな作品。永劫館のようなこれぞっといった大ネタはないし、なんなら特殊設定ミステリーというよりはミステリーの皮を被ったSFといった方が近いかもしれません。また、中二ラノベのような作風も好みのわかれるところでしょう。それでも、新本作の要素を切り貼りしつつ、怒涛の展開で突き進む物語はそれなりに楽しめました。清涼院流水などのファウスト世代の作風を彷彿とさせます。 |