home

ミステリの祭典

login
片翼のイカロス

作家 野島夕照
出版日2025年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2025/05/19 22:36登録)
島田荘司選第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。
上空500mでヘリと人間が衝突⁉ 奇々怪々な謎と華麗なロジック――本格要素てんこ盛り。
相模湖畔に立つ豪邸に新人メイドとしてやってきた麻琴。その館には当主である碇矢コーポレーション代表の加州ほか、その華麗なる一族が住んでいた。レジャー開発の成功で莫大な資産を築き上げた加州だが、生まれつき足が不自由で、ギリシア神話のイカロスのように大空を飛び回ることを夢見ていた。館内で次々に起こる不審な事件……麻琴は生まれ持ったある能力を使い、不可思議な謎に挑む。
Amazon内容紹介より。

如何にも島荘が好きそうな作品ですが、選評を読んでみると褒めているのか貶しているのかよく判りません。まず上記の様な奇怪な謎をどう解くのかに注目されがちだと思いますが、正直なところ拍子抜けでした。まあどう考えても人間が飛ぶなどあり得ないので、このトリックは致し方なかったでしょうが。リアリティを尊ぶ読者には到底お薦めは出来ません。下手すれば壁本ですね。

しかし、本作からは色々学ぶ事が多く、幾度も成程と頷きながら読み進めました。更に麻琴の心情がその都度、起きた事例を解説する様に描写されているので、とても親切設計だと思いました。その為非常に読み易く複雑な人間関係にも混乱することなくストレスフリーで快適です。又メインのトリックだけではなく、ロジックや動機、特殊設定等細部にまで気を配っているのが伝わってきます。橋本環奈の件など、確かにそうだなと思いました。

1レコード表示中です 書評