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ミステリの祭典

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謎解き広報課 狙います、コンクール優勝!
謎解き広報課シリーズ

作家 天祢涼
出版日2024年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2024/12/19 06:14登録)
(ネタバレなし)
 2015年に第一作が書かれた連作短編集(的な長編?)「謎解き広報課」の9年ぶりの新作(シリーズの第二集目)。

 9年前の第一作は当時、評者が久々にミステリファンに本格的に復帰した身で、リアルタイムで読んだ。
 その後、続刊が出そうで出なかったが、正直、天祢センセはE・D・ホック並みにシリーズキャラクター(またはそうなりそうな気配の探偵たち)を創造しておきながら結構、途中で放ったままにしておくので(いい加減、ニュクス=音宮美夜を復活させてほしい!)、この作品もそんなシリーズものの成りそこないのひとつくらいに思っていた。
 そしたら2015年の元版を経て2018年に文庫化された本シリーズの第一作が、長い目で見ると悪くないセールス成績だそうで(なんかそんなウワサだか、作者御当人の述懐だったかを、ネットで見た)、今年2024年にはいっきに第2冊目、そして第3冊目(完結編?)がついに刊行される運びとなったらしい。新作の二冊とも、文庫書き下ろし。
 なんかこういうパターンも珍しい。
 
 主人公ヒロインである公務員・新藤結子が所属する東北の一地方・高宝町(こうほうちょう)の町役場広報課が、さることを契機に各地方で作られる地域広報誌の「広報コンクール」優勝を狙う。これが、今回のシリーズ2冊目の全体のストーリーの縦糸。この大枠のなかでその年の五月から十二月にかけて起きた「日常の謎」の短編ミステリ5本が連作として語られ、最後の話で長編的な結構のまとまりを見せる。要は山田風太郎の『明治断頭台』とかと同じような構造で、まあ類例の長編的連作短編ミステリ集はいくらでもあるか。

 一本一本のエピソードは文庫本で50~70頁ほどの中編といえる短編で、口当たりの良さと読み応えの相乗でそれぞれ心地よい作り。第一話の野球少年ネタ、第二話の意外な動機ネタ、第三話の人気ゲーム聖地巡礼ネタの中での意外な……と、それぞれなかなか面白かった。それらの各編の中に散りばめられた大小の伏線が有機的に回収される最終編での意外な真実も悪くない。
 
 とはいえ成熟、爛熟した印象のある国内ミステリの一路線「日常の謎」ジャンルのなかでは、これでも決して傑出したわけではないのだろうということも大方の察しはつくし、たぶんトータルの評価としては、佳作~秀作の中。読み手がどの辺の出来と見るかは、この手の作品になじんでいるかそうでないかでも大きく変わりそう。
(個人的には、「日常の謎」系をそんなに大系的に読んでるわけではなく、未読の名作や人気作も多いので、今回のコレはこれでフツーに楽しめた。)
 さて、次の第三冊目か。こんな刊行ペース自体が珍しいし、最後までリアルタイムの場のなかで付き合っておこうか?

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