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ミステリの祭典

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京都駅殺人事件
十津川警部シリーズ 駅シリーズ

作家 西村京太郎
出版日2000年02月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 斎藤警部
(2025/12/17 22:00登録)
「今、何時だ?」
「それをきいて、どうするんだ?」

醜悪に改築された京都駅を毀せ。 お前が毀せないから俺が爆破する。 死人を出したくなければ金を払え ・・・ と京都駅長に迫る脅迫者。 話の運びはスピーディ。 意外な死人発生含め、予想外の展開へと伸ばす手が早い(これがイイ)。 犯人と当局側による会話の速球キャッチボールがいい。 その割に、途中から、何度も同じことを早口で繰り返す言葉のシャトルランのような様相に陥り、なかなか話が前に進まないというか、少ない内容を引き延ばしているようにも見えて来る。 そのくせやっぱり面白く、すこぶるリーダブルでもあるのはいかにも後期京太郎らしい。 緊張と弛緩の奇妙な綱引きを晒しつつ、若干のナニも感じさせつつ、それでも退屈はさせない。

「握手をしよう」
「握手?」

物語の核心に触れる “××引継ぎ” の構造には小味な意外性がある。 悪事に悪事を重ねた一風変わった豪快アリバイトリック(時刻表とは無縁)がある。 犯人追い詰めの数学的トリックにはなかなかの頭脳プレーが宿った。
謎事象としてあれだけ引っ張った “真の動機” の訴求力が意外とカックン折れてしまったとは思うが、そこまで深い期待をするものでもなかろう。 
大詰めでは或る種 “コスい” 手を使った十津川。 その言い訳にしては堂々とした最後の台詞が忘れ難い。 去り際の後味は爽やかだ。
頑張った亀さんもありがとう。

No.1 7点 たかだい
(2024/12/15 07:58登録)
西村京太郎作品でお馴染みの十津川警部が活躍するシリーズの一つで、特に『駅』に特化して書かれた「駅」シリーズ(「終着駅殺人事件」や「札幌駅殺人事件」などが該当)に属する作品となります
今作の舞台は京都駅で、東京で1人の青年が殺害された事件をきっかけに、醜悪な京都駅を破壊しろという脅迫文が京都駅に送り付けられる事態へと発展していきます
本書には「長編推理小説」とは書かれてますが、本作はミステリーというよりサスペンスの色が濃いです。ついでに言えば、以前、西村京太郎の別作品をレビューした際にも言ったエンターテイメント性の高い作品でもであるかと思います
爆弾を盾に京都駅を脅し、警察を振り回す犯人の目指す先と、なんとかして先回り(逮捕)を試みる十津川警部や京都府警。両者の、暖簾に腕押し的な対決が読んでいて面白い
おそらく割と初期の作品であるからか話が練られている印象もあり、勢い任せではない程良い重厚感もあって読み応えのある良作かと思います

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