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ミステリの祭典

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エイレングラフ弁護士の事件簿
弁護士マーティン・H・エイレングラフ

作家 ローレンス・ブロック
出版日2024年09月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 クリスティ再読
(2025/04/15 17:12登録)
ネイビーブルーの地に半インチ幅のロイヤルブルーのストライプ、その片側に金色、もう一方の側に若草色の細かい縁取りが入ったネクタイ

これがエイレングラフ弁護士の「勝利」のネクタイ。
エイレングラフの「推定」は、自分の依頼人はすべて無実。どんなに決定的な有罪の証拠があったとしても。依頼料は常識外れの額だがすべてコミコミの成功報酬のみ...悪徳弁護士という言葉では足りない「悪魔の弁護士」エイレングラフの活躍を描く連作シリーズ!

その昔のミステリ雑誌でお馴染みだったエイレングラフ弁護士シリーズがようやく本としてまとまった。いや~大好きでした。エイレングラフが取るエゲツない対抗措置が見ものだけど、いや、実はこれってシリーズ化するのが大変なんだよね。ネタ自体は「なるほど」とはなるんだけど一発ネタに近いから、全12作と言うことで、「マンネリ」をどう回避するのか?が一番の注目ポイントだと思う。これをうまく変化を付けて処理できているからこそ、シリーズとして成立していると思う。力業と言えばまさに力業。

だけど、ブロックってマット・スカダーや泥棒バーニーで有名になった人で、長編の日本紹介は1980年くらいからだから最近の作家というイメージがあるんだけども、実は実はの早熟かつ長期間活躍した作家のわけで、デビューは22歳・1960年のこと。同姓のロバート・ブロックとも近い早熟っぷりでもあるな。シリーズ第一作はダネイが気に入ってEQMMに採用したというくらい。

色々な意味で、すごい。

No.1 8点 人並由真
(2024/12/01 04:44登録)
(ネタバレなし)
・依頼人は絶対に無実である
 (無実の依頼人からしか依頼を受けない)。
・ゆえに依頼人は絶対に無実の判決を勝ち取る。

 この二条を鉄則とし、多額の報酬は常に依頼人が無罪を勝ち取った場合にのみ戴くことを約束する、成功報酬制を貫徹する弁護士マーティン・H・エイレングラフの事件簿。全12編。

 どういう方向のシリーズなのか、いきなり第1話から強烈なインパクトで見せつける連作短編ミステリ集で、その背徳感いっぱいなブラックな味わいは、あの喪黒福造辺りに通じる。

 午前中の病院の診察の待合中と、夕方のクラス会への往路&帰りの電車の車中であっという間にイッキ読みしてしまった。

 これほど地の文を省略し、スタッカートなリズム風の会話の連続で綴られ、それが効果を上げた連作シリーズってそう無いんじゃないだろうか。
 
 ローレンス・ブロックの短編作品はさほどまとめて読んだことがなかったこともあって、コレは存外に面白かった。

 2024年の海外翻訳ミステリのなかで、ひそかなダークホースになるんでないの?

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