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ミステリの祭典

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私はチクワに殺されます

作家 五条紀夫
出版日2024年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 まさむね
(2025/09/18 22:43登録)
 タイトルをうろ覚えで、「チワワ」に殺されるのかと思い込んでいたところ、某書店の本棚の前で「え?チクワ?竹輪?」と勘違いに気付き、そうなるとまぁ、手に取らざるを得なくなる私であります。
 文庫で200ページ弱。ある男の手記から始まりまして、その後の展開も想定しやすそうだな…と思いながら読み進め、あれ?こんな単純に終わるはずないよね…と逆に不安にさせられつつ、ラストはそう来たか…といった感じ。ラストの評価は色々ありそうだけど、個人的には肯定的に捉えています。そういえば、チクワ、最近食べてないな。

No.1 7点 メルカトル
(2024/11/11 22:20登録)
チクワの穴を通して人の姿を見ると、その人物の死に様が見える――。巷に溢れるチクワの秘めたる怖ろしい力に気付いたトラック運転手の男は、気づいてしまった事実の重さに苛まれ、やがて身を滅ぼしていく。
荒唐無稽な設定から始まる奇妙な物語は、複数の視点から語られることで全く異なる側面を見せる。ラストには予想不可能な結末が待ち受ける、前代未聞・驚天動地のチクワ・サスペンスここに開幕!
Amazon内容紹介より。

本日11月11日はちくわの日(本当です)。その日に本作を読み終え、こうして書評を書いている事に、多少の感慨を覚えます。
私はこのようなぶっ飛んだ作品が大好きです。決してふざけているとか、色物的なミステリではありません。真面目なというか、不真面目ではない真っ当なミステリだと思います。チクワの穴から覗いた人の死に様が見えるという、圧倒的に馬鹿馬鹿しい設定が、何を書いているんだと最初は思いました。しかし、読んでいくうちに何故そんな馬鹿らしいことが現実に起こってしまうのか、不思議でなりませんでした。

勿論その裏には隠れた真実がある訳で、それを実に上手く料理している手際の良さは、この作者只者ではないなと思わせます。荒唐無稽な設定に現実味を持たせる見事な逆転劇が目の前で繰り広げられます。
ラストは意見が分かれるところでしょう、そこで評価が割れる可能性も否定できません。私自身はどちらとも言えないとする立場を取りたいと思います。ただもう少しスッキリした幕切れなら8点もあり得たかも知れません。しかし、これを読んで興味を持ったとしても安易に読まないで下さい。くだらないと思われるのも本意ではないですし、出来ればこのまま誰も読まず、密かに私の心の中だけで輝いていて欲しい気持ちも大いにありますので。

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