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ミステリの祭典

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転売ヤー殺人事件

作家 松澤くれは
出版日2024年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2024/10/29 22:40登録)
プロとして、誇り高く転売行為を続ける「俺」。しかし巷では転売ヤーを狙った連続殺人事件が発生、現場の動画がSNSで拡散され、転売が社会問題として連日ワイドショーでも話題となる。
身の危険を感じつつ転売を続けている中、「俺」は人気中学生配信者の凸を受けてしまったことから自宅を特定され、転売ヤーの元締め「転売王」だという事実無根の噂を流されるなど、とんでもない状況に陥り……。
Amazon内容紹介より。

第一章は文句なく面白いです。これは期待出来ると思ったのもつかの間、物語が進む程にトーンダウンしていくのが遣る瀬無いと云うか、残念でした。
タイトルに堂々と殺人事件と謳っていますが、内容的には転売屋の実情を浮き彫りにするばかりで、ミステリとはほとんど無関係のストーリーとなっています。転売という世間的には余り好ましからぬ行為を生業としている主人公に、感情移入が出来ません。作者も立ち位置として、どちらかと言えば突き放した様な書きっぷりで、主人公を好意的に描こうとしていないのが文章から伝わってきます。

犯人もおよそ想像の範囲内で意外性も何もありません。一応サスペンスで登録しましたが、それ程サスペンスフルではなく、その意味では読む価値はありません。ただエピローグで、所詮転売行為は不正ではないものの、決して真似してはいけないものだと語っている気がして、何となく納得できましたね。

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