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ミステリの祭典

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ごんぎつねの夢

作家 本岡類
出版日2024年04月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2025/01/18 07:09登録)
(ネタバレなし)
 後半、虚実が入り混じった文学史探求ミステリの趣も見せてくるが、そこが実に面白い。 

 そもそも、この導入部は―(以下略)。
 結局、彼のしたことはー(以下略)。

 根幹的な、大きな二つの部分にツッコミたくなるのだが、それでも読んで良かった作品。

 本作=この一冊の小説を通しての個人的な感慨だが、改めて人間とは、面白く、切なく、哀しく、そしてときに愚かで、かつ温かい生き物だと思った。

 2020年代の現代のものの考え方がちゃんと随所に盛り込まれながら、お話の作りがどこか昭和ミステリっぽかったのも自分好み。
 決してそんなに大騒ぎするものではないんだけれど、それでも去年の国産ミステリの収穫のひとつではないか。

No.1 7点 まさむね
(2024/12/11 21:48登録)
 中学卒業後15年を経て開催されたクラス会の会場に、キツネの面を被り、散弾銃を持った男が立て籠もった。その男はかつてのクラス担任だった…。
 序盤から興味津々。なぜそのような事件を起こしたのか、犯人である恩師から託された「ごんぎつねの夢を広めてくれ」とのメモの真意は何なのか…。教え子であるノンフィクションライターがこれらの謎を追い掛けます。展開もスピーディーで、グイグイ読まされました。
 ストーリーの基軸となるのは新見南吉の「ごんぎつね」。小学校時代に教科書で読んだ方も多いと思います。私は、細かいストーリーはうろ覚えだったものの、ラストの情景は強く印象に残っておりました。本書を通じ、新見南吉に関する蘊蓄も含めて、あらためて「ごんぎつね」を振り返れたこと自体が意義深い。
 全体的にはヒューマン・文芸ミステリーとでも評すればよいのでしょうか。犯人や関係人物の種々の行動には理解しがたい面があるし、ミステリーとしては平板なのかもしれませんが、個人的には良質な読書でありました。

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