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ミステリの祭典

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名探偵の有害性

作家 桜庭一樹
出版日2024年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 文生
(2024/09/08 09:53登録)
桜庭一樹久しぶりのミステリー作品です。
ストーリーは、50歳になったかつての名探偵と助手がYouTubeチャンネルで弾劾されたのをきっかけに過去の事件を振り返る旅に出るというもので、90年代に起きた事件を回想形式で一つ一つ紹介していく連作ミステリの形をとっています。
一見、新本格のようですが本格ミステリとしてはあまり面白くありません。名探偵を時代の徒花として描いているいるせいか、中途半端にリアルで推理もトリックもパッとしないものばかりなのです。
本作はむしろ名探偵という存在を通して世代間ギャップについて語る社会派ミステリーの側面が強い気がします。その着眼点はなかなか面白いのですが、ただそれを語るのにわざわざ名探偵を持ち出す必要あったの?という気がしないでもありません。あと、50歳のコンビが妙に可愛らしく描かれているのは現代ならではで、時代の変化を感じます。

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