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ミステリの祭典

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壁から死体?
〈秘密の階段建築社〉の事件簿

作家 ジジ・パンディアン
出版日2024年07月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 文生
(2025/04/15 05:20登録)
若くして引退に追い込まれたイリュージョニストの女性が不可能犯罪に挑む〈秘密の階段建築社〉の事件簿シリーズ第1弾。
新たに塗りなおした痕跡もない何十年も前に作られたはずの壁から殺されたばかりの死体が発見されるという謎はなかなかスリリングですが、トリックや謎解きは正直大したことはありません。しかし、全編を貫くディクスン・カーへの愛が素晴らしい。カーマニアの幼馴染を登場させて新たな密室講義に挑戦するのもうれしいところ。同じカー好きとして評価は甘めに。

No.1 5点 nukkam
(2024/10/10 21:42登録)
(ネタバレなしです) アメリカの女性作家ジジ・パンディアン(1975年生まれ)は2012年に作家デビューし、既に2つのミステリーシリーズを書いていますが第3のシリーズである<秘密の階段建築社>の事件簿シリーズ(Secret Staircase Mystery Series)の第1作が2022年発表の本書です。ファンタジーミステリー系かと思わせるようなシリーズ名ですが本格派推理小説系のシリーズのようです。何人もの先祖が怪死したり失踪したりしているマジシャン一族の末裔である元イリュージョニストのテンペスト・ラージが主人公で、壁の中に埋められた死体という風変わりな不可能犯罪の謎解きに挑みます。もっとも被害者が自分の代わりに殺されたのではと思いこんだり、幽霊らしきものに悩まされたり、ラージ家の呪いではと神経質になったりと探偵役としてなかなか推理に専念できないところがあって本格派のプロットとしてはまわりくどいです。それでも第3部になるとようやく謎解きが前進しますが、トリック解明はともかく犯人当てとしてこの真相は唐突過ぎる解決と思います。一族にまつわる過去の事件についても謎が中途半端に放り出されてしまっているように感じました。

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