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ミステリの祭典

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籠の中のふたり

作家 薬丸岳
出版日2024年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 パメル
(2026/06/03 08:01登録)
主人公の弁護士・村瀬快彦は、小学生の頃に母親を自殺で亡くした過去を持ち、他人と深く関わることを避けて生きてきた。もう一人の主人公である従兄弟の蓮実亮介は、傷害致死事件を起こして服役していた。そんな二人が身元引受人と出所者として再会を果たすところから物語は展開していく。
快彦は前科者である亮介を拒絶し、距離を置こうとしていたが、明るく情に厚い亮介や彼を取り巻く人々との交流を通じて、頑なな心を溶かしていく。しかし、快彦が亡き母の遺品から自分の出生の秘密を知ったことをきっかけに物語は急展開を迎える。
出生の秘密や過去の事件の真相といったミステリ要素が、二人の再生の物語と見事にリンクしている。冷静で心を閉ざした弁護士の快彦と、罪を背負いながらも明るい元受刑者の亮介。この二人がお互いの欠けた部分を埋めるように成長していくバディものとして読ませる。人生において自分を変えられるかもしれないタイミングが来た時、素直に心を開くことが出来るか。もし逃げずに受け止めさえすれば、道は開けてくる。快彦の変化はそんなことを教えてくれる。
とはいえ、ミステリとしてはやや物足りなさを感じてしまう。人間ドラマ重視の人には強く刺さるのではないだろうか。

No.1 8点 HORNET
(2024/08/25 18:07登録)
 父親を亡くしたばかりの弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こした従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は川越の家で暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るくてお調子者の亮介と交流することで人として成長していく。だが、ある日、母が結婚する前に父親の安彦に送った手紙を見つけ、衝撃の事実を知る。母は結婚前に快彦を妊娠していて、快彦に知られてはならない秘密を抱えていた。そして、出生の秘密は亮介の傷害致死事件とも繋がっていく。二人は全ての過去と罪を受け入れ、本当の友達になれるのか――。(出版社紹介より)

 従弟・亮介が居酒屋で起こした傷害致死事件の真相、亮介と、快彦の父・安彦との約束、快彦と元カノ・織江の行く末―など、複線的に進行するそれぞれのストーリーがどれも目を離せず、興趣が尽きない展開。謎解きとしての興趣はもちろんだが、亮介に心を解かれ、次第に変容していく快彦の人間的成長や、そのことにより距離が縮まっていく二人の様子がヒューマンドラマとして非常に魅力的。着地点の読後感もよく、非常に充実した読書体験だった。

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