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ミステリの祭典

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夜の声を聴く

作家 宇佐美まこと
出版日2020年09月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 ぷちレコード
(2024/11/10 22:36登録)
知能は高いが集団生活に馴染めないため、不登校を続ける「僕」こと堤隆太は、目の前で自殺未遂をした加島百合子に惹かれ、彼女と同じ定時制高校に通い始める。
そこで知り合った級友と隆太がリサイクルショップを手伝いながら、遭遇する不思議な出来事を解決していくのが前半の展開。だが十一年前に起きた殺人事件の存在が次第に大きなものとなり、彼らの運命を狂わせてしまう。
青春小説プロットとミステリの謎を合体させたような読み味の作品。

No.1 6点 びーじぇー
(2024/07/21 21:56登録)
十八歳の引きこもり堤隆太は、目の前で自分の手首を切った女に惹かれ、彼女の通う定時制高校に入る。そこで老女が営む風変わりなリサイクルショップ「月世界」で働く同級生・重松大吾と知り合い、彼らは月世界の客の隣家で起きた事件の真相に迫ることに。
この事件の解明がメインストーリーなのかと思っていると、あっさりと解決してしまうが、隆太たちは街の名家の当主の身に起きた変事や、亡き父の遺した絵画の処分をめぐって争う姉妹の仲裁等、その後も変わった案件を処することになる。しかも連作スタイルで描かれていくそれらの事件は、一見何のつながりもなさそうで終盤に思いも寄らない形で結びついていく。
そうした展開の妙に加えて、様々な痛みを背負った月世界の三人が織り成す絡みが素晴らしい。むろん各事件においては、謎解き趣向も凝らされている。主人公の成長を核とし、前半は日常謎を挑み、後半は十一年前に起きた殺人事件を追っていくといった多重性が物語に深みを与えている。

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