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ミステリの祭典

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モルグ館の客人
レイチェル・サヴァナクシリーズ

作家 マーティン・エドワーズ
出版日2024年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 8点 HORNET
(2024/08/25 18:44登録)
 女探偵レイチェル・サヴァナクに助けを求めてきた男が、レイチェルの忠告を無視した結果殺害された。実は男には、他者にりすまして生きていた犯罪者の疑いがあった。犯罪学者のレオノーラ・ドーベルは著書の中でそのことを指摘し、他にも無罪として終わったいくつかの殺人事件に嫌疑を投げかけていた。レオノーラが、嫌疑をかける容疑者たちを一堂に館のパーティに招く。そのパーティにはレイチェルも招かれたのだが、そこで殺人事件に直面する―

 レイチェル・サヴァナクシリーズの第2弾。第一作では、レイチェルが善なのか、悪なのか―という非常に特異な面白さがあったのだが、当然これは一作目にしか使えないネタ。よって本作は正面からの本格ミステリ勝負ということになる。
 葬儀列車に乗り込む男を止めようとするレイチェル、という場面から物語が始まり、謎めいた始まり方は分かるのだが、何が何だかよく分からない話をしばらく読み続けることになり、物語の枠組みを理解するのにだいぶ時間(ぺージ数)を要する。謎めく魅力と分かりにくさは表裏一体だと感じる。
 作品紹介では、犯罪学者・レオノーラの館に犯罪容疑者が集う話が中心のように書かれているが、実際にその館に集う場面は物語のかなり後半。各事件の内容や背景を読み解いていく前半から中盤はそれはそれで読み応えがあったが、やや複雑で冗長だった感もある。
 真犯人の出しどころは、なかなか読者の盲点をついていて成功しているのではないかと思う。伏線がかなり丁寧にちりばめられていて、なんと巻末には「手がかり探し」として逐一その説明がなされているが、正直一文一文そこまで注意を凝らして読んでいたらもたないなぁ…
 面白かった!

No.1 5点 nukkam
(2024/07/19 02:19登録)
(ネタバレなしです) 2020年発表のレイチェル・サヴァナクシリーズ第2作です。終盤でレイチェルが事件関係者を集めて推理説明し、巻末では「手がかり探し」が挿入されて34の手がかりがどのページにあったかを示しており、その点に限れば本書は確かに本格派推理小説と言えるでしょう。しかし作者が「1930年代を舞台にしたスリラーを書こうという考えに誘惑された」とコメントしているようにスリラー色が非常に濃いプロットで、終盤に至るまでは本格派らしさを感じにくかったです。スリラーがいけないというつもりはありませんけど本書に関しては登場人物リストに載っていない人物が多くて何が何だかわかりにくく、過去の事件も含めるとかなりの人間が殺されているのですが全ての事件が解決されるわけではないのですっきりできませんでした。

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