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ミステリの祭典

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浴槽で発見された手記

作家 スタニスワフ・レム
出版日2024年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2024/06/14 12:56登録)
 積み重なる不条理劇は、体制批判である、社会風刺である、世界そのものの隠喩である、スパイ合戦そのものが一歩引いて見れば無意味な道化芝居である。そりゃあ判るよ。でもあまり安易にそうやって済ませて何でもアリに堕するのも考えもので、手綱は相応に締めておく必要もあるなぁと私は少々反省したのだ。作家を甘やかしてはいけない。

 本作は、ナンセンスのヴァリエーションが増えたのと、不条理さが徐々にグレード・アップして行く構成のおかげで、『捜査』よりは読み進めるハードルが低い。静と動のバランスで読ませるセンスも良い。作者も学習したんだと思う。
 しかしラストをきちんと纏めていないので、形式を模倣しただけ、思わせ振りに答えをチラつかせただけ、と言う疑惑も拭えないのである。

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