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ミステリの祭典

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シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する
シャーロック+アカデミー

作家 紙城境介
出版日2023年06月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2024/06/11 22:24登録)
増加する凶悪犯罪に対抗し、探偵という職業の必要性が飛躍的に高まった現代。
日本で唯一「国家探偵資格」を取得できる超難関校・真理峰探偵学園に今年、とある少年と少女が入学する。
一人はかつて〈犯罪王〉と称された男の孫・不実崎未咲。
もう一人は〈探偵王〉の養女・詩亜・E・ヘーゼルダイン。
宿敵同士の末裔二人が、ここに邂逅したのだ! 
そして始まる学園の日々。早速入学式から模擬事件が発生!?
Amazon内容紹介より。

ハーレム状態の恋愛要素が程良い塩梅で盛り込まれたラノベながら、確りとした本格ミステリとして成立しています。入園早々模擬事件で二人の主人公がいきなり激突します。ここで既に読者のハートを鷲掴みしているのでは?特にミステリ寄りの読者には堪らない趣向でワクワクが止まりません。うーむ、なかなかやるなと思わせるに十分な出だしで、まさに「最高峰の知的興奮」も誇大広告ではない様です。

当然ではありますがキャラは十分すぎる程立っています。〈犯罪王〉の孫と〈探偵王〉の養女以外にも同じ一年生の探偵の卵の少女達や上級生らそれぞれ重要な役割を与えられています。
後に起こる本件では意外なほどのロジックが展開され、二転三転怒涛の推理合戦が繰り広げられます。そして最後に明かされる驚愕の事実、ですが、これは流石に無理筋かと思われますね。でも良いじゃないですか、それも含めて小説なんですから。伏線も張ってあるし。

No.1 7点 人並由真
(2024/05/12 09:07登録)
(ネタバレなし)
 横行する凶悪犯罪に対処すべく、優れた探偵の才能のある者に、国家認定の探偵資格が与えられるもうひとつの世界。「俺」こと不実崎未咲(ふみさき みさき)は、本邦で唯一「国家探偵資格」を取得できる超難関校・真理峰探偵学園の高等部に入学した。だが不実崎の入学は、さる重大な出自上の事情から決して周囲に歓迎されるものではなかった。そんななか、彼は「私」こと、特異な家柄の美少女探偵、詩亜・E・ヘーゼルダインと対面する。

 すでに数タイトルのラノベミステリを著し、一般ラノベ読者&アニメファンには青春恋愛ラノベ(ややラブコメ寄り)『継母の連れ子が元カノだった』の大ヒットで知られる紙城先生の新シリーズ。
 といっても本シリーズはすでに、この第一弾を皮切りに今年2024年の4月の時点で、もう3冊出ています。で、評者はようやっと、その一冊目を読みました。

 今回も『元カノ』同様、互いに異性として意識し合いながらも、こじれた関係の不器用な男女コンビが主人公。
 青春ラブコメ風恋愛ものとしては例によって根がマジメな分、そこが微笑ましくて魅力ですが、なにしろそれ以上に、本人が大のミステリファン~マニアという地を自作の各編に滲ませてくるのが持ち味の作者です。
 なにせ自分は『不連続殺人事件』が劇中に登場したラノベを、くだんの『元カノ』以外に知りません(笑)。
 
 そんな作者だけに、今回も伏線となる地の文を全部? ゴシック体で強調という、外連味ある趣向を採用。これってもしかしたら、どっかの新本格作家がすでにやってるギミックかもしれませんが、寡聞にして私は知りません。
 いずれにしろ、本作でもイイ感じにアレコレ、要所でミステリファンのツボを突いてきます。

 もちろんシリーズものの第一作のラノベですから、今後の物語の広がりを想定した仕込みも多く、作品世界はまだまだ序盤です。それでも期待通りに、なかなか楽しめる作品ではありました。
(ある種の特殊設定のなか、グレイゾーン的にムニャムニャな部分はまったくないではないですが。)

 ちょっとじっくりとマイペースで、このあとの続巻も付き合わせていただきたいと思います。

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