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ミステリの祭典

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紅楼の悪夢
ディー判事

作家 ロバート・ファン・ヒューリック
出版日2004年06月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2016/09/23 00:34登録)
(ネタバレなしです) 1964年発表のシリーズ第9作の本書では密室内での死が扱われていますが自殺を前提にして物語が進むので不可能犯罪として謎を膨らますようなプロットにはなっていません。トリック的には30年前の密室トリックが印象的です。ユーモアに満ちたシーンもありますがどちらかといえば重い読後感を覚える作品で、ルオ知事やマー・ロン副官の明るいキャラクターをもってしてもそれを完全には払拭しきれていません。

No.2 6点
(2015/09/05 13:49登録)
ディー判事は、立ち寄った楽園島で起きた密室事件をルオ知事に押しつけられて、部下のマーロンとともに捜査することになる。そして次の事件と、さらに30年前の事件も。
歓楽地の事件で、里正(村長、元締めみたいなものか)、花魁、妓女、博士、書生、骨董商など、雑多な人物たちが登場する。歓楽地で骨董商というのもなんか変な感じだな。

トリックよりもおもに人間関係の面白さがある。
いかにも悪そうなやつもいれば、そうでないのもいる。人物間のどろどろ感もある。マーロンたちのアクションの見せ場もある。
ディー判事の最後の謎解きはちょっとした驚きだった。伏線は軽すぎて忘れていたw

国内の安っぽい2時間ドラマにそのまま使えそうなストーリーだった。
総合的に見ても、軽さと、重さと、滑稽度(挿絵によるものか?)と、男女のせつなさとが混在したような、なんかバランスがイマイチのように感じた。
まあでもプロットには変化があって楽しめたほうかな。

No.1 7点 mini
(2010/08/13 10:19登録)
* お盆の時期だからね(^_^;) *
盂蘭盆(うらぼん)の時期だった為、ここ楽園島内の宿屋はどこも満室で、狄(ディー)判事一行がかろうじて泊れた部屋は何やら怪しげな部屋だった
一泊して翌日に隣県のルオ知事に挨拶に行く予定であったが、そのルオ知事が楽園島に来ていて半ば強引にある事件の解決を代理で依頼されてしまう狄判事

江南にある第3の赴任地時代の話で、題名の出典は述べるまでもないだろう
今回の舞台は、酒場・賭博場・娼館が立ち並び、水路に囲まれたその名も”楽園島”、まぁ古代中国のラスベガスと言ったところか
話の展開も真相も珍しい舞台と良く合っている
過去現在含めて全部で3つの密室事件が出てくるのだが、トリックに期待しちゃ駄目よ
密室トリックが主眼ではなくて、なぜ密室事件が3つも起きるかってぇーと、それは自殺か他殺かを読者に混乱させるのが狙いだろーて
登場する副官も酒と女には目が無い馬栄(マーロン)1人なのは必然だ
しかし今回の馬栄、腕っ節を見せる場面もあまり無く、終いにはほろ苦い結果に・・
ほろ苦いのは真相も同様で、3つも密室事件が起こる割には話の展開が分かりやすくトータルバランスに優れ、暗く重い真相が舞台設定と良く調和しており余韻が心に沁みる
前期5部作を除く読んだ中後期作の中では最も出来が良い
それにしても”小蝦どん”の荒業すっげぇぇぇ~!

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