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ミステリの祭典

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『吾輩は猫である』殺人事件

作家 奥泉光
出版日1996年01月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 8点 ROM大臣
(2021/06/14 14:54登録)
一冊丸ごと夏目漱石のパロディというか文体の模写。特に感心したのは、メインプロットとは関係のない益体ない、どうでもいいような与太話がキチンと書かれているところ。
プロの読みのすごさというか、「吾輩は猫である」の作中、漱石が適当に描いたために生まれた謎を再構成してミステリに仕立てているところ。
全体の構成もうまい。漱石が、初期には「吾輩は猫である」のような精神的に安定した文章を書きながら、晩年にはなぜ「行人」のように不安を漂わせた作風になっていったのか、そういう漱石文学の全体の謎もうまく盛り込んでいて得心がいった。

No.5 8点 ミリ
(2010/02/08 10:26登録)
夏目漱石の『吾輩は猫である』が大好きです。その後のお話として書かれた本書は楽しい想像みたいでとても楽しめました。世界観もすんなり入って行けた。

No.4 5点 yoshi
(2007/05/27 17:52登録)
パスティッシュとしては一級品。しかしミステリーとしては二級品。

No.3 5点 wataru
(2004/04/07 22:31登録)
これを読むために、夏目漱石の「我輩は猫である」を読むという頭の悪いことをしたなぁ…直後に読んだだけに、なかなか面白かったです。

No.2 4点 イオン
(2004/03/31 21:58登録)
途中まではなかなか楽しめたが・・・・。ラストはね。なげやりな感じ。

No.1 7点 じゃすう
(2004/01/23 21:15登録)
夏目漱石の『吾輩は猫である』の続編的設定。実は生きていたという猫が主人公ですが、ミステリ的には、余計な描写がだらだらと長いだけ、と感じますが、目のつけどころは漱石のそれと酷似しており、現実への風刺など、キャラたちにも違和感は覚えないし、愉快です。
(以下ネタバレ)




展開はミステリの王道を行っているようでもあり、しかし真相は流し読みしただけでは(おそらくじっくり読んでも)100%理解できるものではないです。
漱石の他の作品をモチーフとしているところもあり、その辺の文献も読まないと解釈はかなり難解ではないかと。
また、解釈を読者任せにするという点では、この作家さんにはよくあるようですが、この作品でのその手法は、少し残念な結果だったという気がしないでもなかったです。さんざん引っ張ってそれか、みたいな(笑)

しかし普通に面白く読めたので、この辺りの点数で。

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