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ミステリの祭典

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レザー・デュークの秘密
ジョニー・フレッチャー&サム・クラッグ

作家 フランク・グルーバー
出版日2024年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2024/05/13 15:11登録)
(ネタバレなし)
 版元の事情で巡回セールス用の配本が届かないため、いつものセールスマン稼業を続けられないジョニー・フレッチャーとサム・クラッグのおなじみコンビ。仕方なくふたりは、ほとんど生まれて初めてまともな会社に就職することになった。工員をひとりだけ募集している「タウナー皮革会社」の工場に赴いたふたりだが、たまたまそこでさらに辞職者が出たため、補充員が必要な工場はふたりを同時に雇うことにする。だがそこでまたまたふたりは、殺人事件に出くわすことになった。

 1949年のアメリカ作品。ジョニー&サムシリーズの第十二弾。
 
 シリーズもここまで来ると、作者の方ももう十分にこの主人公コンビを使い慣れた感があり(読むこっちは、まだその半分くらい~もうちょっとかな~しか読んでないが)、たまには変わったシチュエーションでやってみようという趣向の一編。『新・必殺仕事人』のサブタイトルパターン(「主水、~する」で統一)風に言うなら「ジョニーとサム、就職する」と副題をつけたいような巻である。

 途中(後半の時点)で気づいたが、物語全編が二日間の事件であった。とんでもないスピーディぶりに軽く驚きつつ笑う。その分、中味は動きがあって、オモシロイが。
 ミステリとしては残りの紙幅がギリギリまで少なくなる中、どうやってまとめるんだ、と思っていたら予想以上に強引に決着させた。
 後出しの情報も多く、その分、謎解きミステリとしてはいささかアレだが、それでもトータルとして、この作品はなかなか楽しかった。グルーバー完全に職人芸の世界。

 シリーズ全冊翻訳という夢のような事態の完走までもうちょっと。最後までよろしくお願いします。
 できるなら、シリーズ完結後は、さらにほかのグルーバーのシリーズキャラクターの未訳作品の発掘(特に人間百科事典オリヴァー・クェイドもの)も頼んます!

No.1 5点 nukkam
(2024/04/17 10:36登録)
(ネタバレなしです) 1949年発表のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズ第12作のユーモア・ハードボイルドです。「だれでもサムソンになれる」という怪しげな本の行商で生計をたてている2人ですが、肝心の本が届かないために新たな仕事を探す羽目に陥ります。皮革会社に首尾よく雇われるのもつかの間、革工場で殺人事件に巻き込まれます。前半は探偵活動よりもどうやってその日の食事にありつくかでジョニーの口八丁の工夫が目立ちます。後半は探偵活動に本腰が入りますが、けちる時はけちるけど必要と判断すれば金に糸目をつけないジョニーの捜査が印象的です。謎解きは強引に解決しているように思いますがテンポのいいストーリーテリングは相変わらずの出来栄えです。

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