殺人は展示する 初版本図書館の事件簿 |
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作家 | マーティ・ウィンゲイト |
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出版日 | 2023年12月 |
平均点 | 4.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 人並由真 | |
(2024/02/19 08:45登録) (ネタバレなし) 数年前に逝去した英国の巨匠ミステリ女流作家ジョージアナ・ファウリング。彼女の遺産と蔵書を母体に創設された文芸団体「初版本協会」で「わたし」こと40岱後半の離婚女性ヘイリー・バーグは、蔵書のキュレーター(鑑定士)を務めていた。協会は外部向けのイベントとして、ジョージアナの生涯と英国ミステリ界の大家たちとの交流を紹介する催事を企画。ヘイリーはその計画の準備を担当し、外注スタッフとして、知己である売れっ子の催事マネージャー、ウーナ・アサートン女史に協力を求める。だがその催事の準備の最中に予想外の殺人事件が発生した。 2020年の英国作品。ヘイリー・バーグを主人公にしたシリーズの第二弾。 前作はかなりメチャクチャにけなしたが、今回は割と面白かった。 nukkamさんがおっしゃっている、楽しめる人はその辺が楽しめるのでは? という催事の準備プロセスでの主人公の奮闘、彼氏の双子の娘との対面ドラマ、その辺りが正にドンピシャでキャラクタードラマとしてなかなかオモシロイ。 (ただしセイヤーズの初版本探しのくだりは、現状で特にセイヤーズという作家に強い思い入れもなく、さらにモチーフの作品『殺人は広告する』も未読なので、あまりココロに響かなかった~汗~。) 犯人と事件の真相に関しては、まあ無難でフツーな線だね、という感じ。動機がらみのとある文芸(P448で明かされるそれに至るまでの伏線)はちょっとだけ面白かったかも。 いずれにしろ、前作よりは全体的にずっと楽しめた。少なくとも前回のような、スーダラな登場人物たちの言動てんこ盛りでイライラさせられることはない。 それでもトータルとしては、依然まだ「まぁ楽しめた」なので、この評点で。 |
No.1 | 4点 | nukkam | |
(2024/01/22 22:41登録) (ネタバレなしです) 2020年発表の初版本図書館の事件簿シリーズ第2作です。英語原題は「Murder Is a Must」で、ドロシー・L・セイヤーズの「殺人は広告する」(「Murder Must Advertise」)(1933年)をモチーフにしています。殺人事件の謎解きもありますが、主人公のヘイリー・バークが抱える問題はそれだけではありません。展覧会の企画、セイヤーズの稀覯本探し、恋人ヴァルの双子の娘たちとの出会いなどがそれぞれ丁寧に描かれており、そういうのに興味を抱ける読者ならいいのですけどミステリーへの期待の高い読者だと無駄の多い作品と感じてしまうかもしれません。終盤はそれなりにサスペンスが盛り上がりますが、好都合な目撃者の登場で犯人がわかって解決しただけにしか感じられませんでした。第22章で「怪しい人物には全員、鉄壁のアリバイがある」とか言ってたのは一体何だったんでしょう?本当に鉄壁だったのか最初から穴だらけだったのかもよくわかりません。一応は本格派推理小説の体裁をとってはいますが推理説明が不十分です。 |