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ミステリの祭典

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爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー

作家 おぎぬまX
出版日2023年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 たかだい
(2025/01/12 17:02登録)
お蔵入りの憂き目にあったご当地ヒーローが、誘拐犯や薬の売人といった悪人を殺害するという奇抜なストーリーが特徴的な作品
また、ストーリーの奇抜さの中にきちんとミステリーとしてのロジックというか面白みが軸としてある為、ただのキワモノで終わらない魅力のある作品だと感じました
ただ一方で、パワハラ三昧で部下に(控え目な表現で)根性焼きを強要するような制作会社の社長など負のキャラ付けをされた人物も多く、個人的にそういった人物は総じて胸くそだったのであまり好きになれず、読後感も悪かったです
ミステリーとしての骨組みは面白いがキャラデザで印象があまりに悪い作品、というのが個人的な所感ですね

No.1 7点 人並由真
(2023/11/11 10:28登録)
(ネタバレなし)
 その年の4月。東京の町田市で、4歳の小野寺ひかるという男児が誘拐された。だが当人はやがて無事に保護され、誘拐犯と思われる男は死体で見つかった。ひかるは「正義のヒーロー」が現れたとして、そのヒーローの似顔絵を描く。かたや、町田市で活動する地域密着型の映像制作会社「MHF」のデザイン部の若手社員・志村弾は、そのひかるが描いた似顔のヒーローの図柄を認めて驚愕する。なぜならそれは、以前に志村がデザインしながらもお蔵入りになった企画のヒーロー「シャドウジャスティス」に酷似していたからだった!?

 先日読んだ『キン肉マン』の二次創作小説・ミステリ集がけっこう面白かったので、同書の小説を実作された著者のオリジナルミステリ長編を手にしてみる。
  
 評者は1960年代の第一次怪獣ブームの頃から特撮怪獣ファンやっているジジイだが、低予算枠のローカルヒーロー分野には知見が薄い(というかほとんどまったくない)ので、そんな専門ジャンルの現場を描く業界ものとして、かなり興味深く楽しめた。
(当然のことながら、メジャーな特撮作品の分野と繋がってくる部分も、それなりにある。)
 あと、作者が狙って書いてるんだろうとは思うけれど、それでも一部のサブキャラがとてもいい。

 大筋としてフーダニットパズラーの軸を守り、事件の構造を最後までシークレットにしながら、読み手が飽きないように途中で小規模なミステリ味をいくつも設け、「これこれこうなんだから、ああだったんですよね」という謎解きを用意してあるのは、作者なりの本気さを感じさせて快い。
 多才な作者は漫画家としても活躍し、まともな連作ミステリコミック集を描いているらしいが、その辺の若い受け手を退屈させないようにするサービス精神を本書の中でも感じた。

 作品全体の中身は、よくも悪くもネタを詰め込み過ぎた感じもするが、もしかしたら器用な余技作家の戯作と舐められたくない、というプライドめいたものかもしれない。
 失礼ながら作者の本業? の芸人としての活躍にはまったく縁がないが、たぶん真面目で、いい意味で意識の高いお仕事ぶりなんだろうと思う。

 で、真犯人の正体に関しては、こういう決着なら、もうちょっと情報を明確に……という部分もないでもなかったが、よくよく考えると一応は、その必要なデータは作中から採取できるようにもなっていた。本当はもっと伏線をフェアに張っておきたいが、あまりわかりやすすぎても困る、というバランス感ゆえの仕上げかもしれん。そう考えると、まあ仕方がないかも。
 
 軽妙そうな設定、題材に比して、望外に骨っぽい作りの一冊。
 ただし好意的に見た上で、ホメ切ってしまうと、なんか違うような作品でもあった。

 できましたら、物語設定や登場人物などはまったく別のものでもいいので、オリジナルの長編ミステリをもう数冊、書いてもらえると嬉しい。
 どんな感じのものが次に来るのか、そーゆー興味の湧く種類の一冊だった。 

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