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ミステリの祭典

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人生は小説(ロマン)

作家 ギヨーム・ミュッソ
出版日2023年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2023/11/10 15:21登録)
(ネタバレなし)
 2010年4月。ニューヨークの一角から、著名な、しかしほとんど世間に顔を晒さない39歳の女流作家フローラ・コンウェイの娘で、3歳のキャリーが姿を消した。その後の消息は半年以上たっても不明で、フローラは焦燥を深めるが、彼女を後見する出版社の代表ファンティーヌ・ド・ヴィラットはある提言を申し出た。一方、物語は、パリ在住の45歳の小説家で、すでに20年以上の実績と20冊近いベストセラーを誇る人気作家ロマン・オゾルスキの周辺を語り始める。

 2020年のフランス作品。今年の邦訳分のミュッソ作品で、ページ数はそんなに長くないが、ふたりの作家を軸とした数名のメインキャラの軌跡を語りながら、現実そして虚構めいた? 場の中でのドラマを行き来する内容は結構、観念的な趣もある。

 それで終盤で結構な大技が使われているのだが、本作の場合は前述した作品の独特な形質と相殺し、読み手のこちらの心に本当ならもっと響きそうなところ、私(評者)の場合、どこかでズレてしまった感じ。
 言い換えれば作者に振り回され、読者のこっちもその勢いに付き合えばよかったものの、いつの間にかすべってしまった感覚だ。
(読後にAmazonの感想を覗くと、ものの見事に評価が割れてるが……わかる! 非常によくわかる!!)

 いつかしばらくしてから、落ち着いて読み返した方がいいかもしれない。
 そんな一冊であった。

【2023年11月11日追記】
 あー、書き忘れたけど、作者が例によってメタネタで遊びまくっていて、今回は私の大好きなベルモント&ジャクリーン・ビゼットの『おかしなおかしな大冒険』ネタまで登場してきたのはすんごくウレシイ(笑)。
 この作品の小説世界は、あの映画の世界と世界観を共有するのね(大嬉)。

 しかしいい加減、同映画の日本語版ソフト出してください(怒)!
 CSや配信でもフツーに日本語版、見せてください。関係者の方(懇願)。

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