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ミステリの祭典

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アリス連続殺人
セルダム教授

作家 ギジェルモ・マルティネス
出版日2023年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 6点 小原庄助
(2026/04/25 09:03登録)
「私」は筆跡に関するプログラムの開発に取り組んでいたが、ある日「不思議の国のアリス」で知られる作家ルイス・キャロルの失われた日記に関係する、新発見の書類の筆跡鑑定をセルダムから依頼される。だが、その書類を発見した奨学生のクリスティンが何者かに轢き逃げされて重傷を負ったのを皮切りに、次々と事件が起こる。本書ではキャロルについて囁かれるスキャンダラスな疑惑、すなわち小児性愛者としての側面が関わっていたのではないかと仮定している。
世界的文豪は、小児性愛者だったのか、それはプラトニックな関係にとどまらず実行を伴うものだったのかという疑惑を通して、現在の倫理で歴史の偉人をどこまで裁けるのかという問題が抜かれているが、登場人物たちが交わすペダンティックな議論や二転三転する真相や結末の苦い余韻など、知的興味に満ち溢れている。

No.1 4点 nukkam
(2025/05/30 18:06登録)
(ネタバレなしです) 「オックスフォード連続殺人」(2003年)から16年も経過してから続編にあたる本書が2019年に発表されたのは驚きでした(前作ネタバレはありません)。作中時代は「オックスフォード連続殺人」の1年後の1994年で、セルダム教授と名無しの語り手(アルゼンチンからの留学生)が再び探偵役となる本格派推理小説です。「不思議の国のアリス」(1865年)で有名なルイス・キャロル(1832-1898)の失われた日記帳の空白を埋めるかもしれない資料の発見とその真贋の鑑定依頼がきっかけで2人が事件に巻き込まれていくプロットです。セルダム教授は数学者ですがテーマがルイス・キャロルのためか数式や数字が飛び交うことはほとんどありませんが、それでも会話は私には回りくどく感じられます。展開にメリハリがない欠点は前作と同様で、最初の被害者に謎の写真が送られた出来事なんかあまりにもさりげなく記述されていて危うく見落としするところでした。それでも後半はミステリーらしさが加速しますけど、三十章で語られる最後の事件の真相はあまりにも魅力を欠いており個人的には大幅減点評価です。ただエピローグでのどんでん返しと事件の悲劇性を再認識させる演出は巧妙だと思います。

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