(2023/08/28 23:13登録)
(ネタバレなしです) ガードナーが(理由はわかりませんけど)カールトン・ケンドレイク名義で1935年に発表した本格派推理小説です。ブレード新聞といえば検事ダグラス・セルビイシリーズでセルビイを失脚させんとセルビイの落ち度を探しまくる、敵対的立場のメディアでしたが本書のブレ-ド新聞と同じなんでしょうか?犯罪学者シドニー・C・グリッフが登場するまではブレード新聞の新聞記者が探偵役だし、探偵役がグリッフに交代してからもグリッフをサポートして本書での印象は悪くありません。ちなみにダグラス・セルビイシリーズ第1作の「検事他殺を主張する」は1937年発表です。その間にブレード新聞を敵役に変更する理由が何かあったんでしょうか、気になります。ハヤカワポケットブック版にはちゃんと登場人物リストが載っていますが、第17章である人物がぼやいているように別の名前を名乗る人物が多くて本名は何なのか、誰が誰なのかややこしくなる複雑なプロットです。第20章での犯人判明場面の劇的演出はガードナーとしては珍しいですね(ジョン・ディクスン・カー風です)。事件が解決されてめでたしめでたしのはずなのに説明できないことがあるのが不満なところは犯罪学者らしいですが、主人公としては地味過ぎと考えたのか作者はグリッフ登場作を2度と書きませんでした。
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