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ミステリの祭典

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あの魔女を殺せ

作家 市川哲也
出版日2023年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2023/11/10 15:57登録)
 特殊設定の本格かと思いきや、そこからも逸脱した怪作。その要素を前提にしても、真相がフェアプレイだとは認めがたい。実行犯が伏線無しで想定外過ぎ。
 でも好き。ラストで結ばれるこの二人、肉体的にはアレだね。ひぇ~。

No.1 7点 人並由真
(2023/11/08 08:37登録)
(ネタバレなし)
 とある魔法を用いた魔女の時代の伝承が語り継がれる世界。「俺」こと35歳のフリーライターで、少し前に愛妻を事故で失った麻生真哉は、さる筋からの紹介で、世界中に知られた異才の人形師である常世(とこよ)三姉妹のもとに赴く。群馬の山中のその館は、三姉妹の祖母で、政財界にも顔がきいた高名な霊媒師・常世黄泉が遺した邸宅だった。そして同家を訪れた麻生とその6歳の娘・真里が遭遇したのは、怪異な密室殺人であった。

 
 蜜柑花子シリーズを離れた作者の初のノンシリーズ作品で、久々の長編。

 主要人物たちに関わるかなり凄惨な逸話が書き連ねながら、同時にしばらくすると一人称の話者も、「俺」=麻生から別の者に交代。
 なんか仕掛けがあるんだろうな、と思いながら読み進めていくと、物語は(そして謎解きミステリの流れは)こちらの予想の斜め上へとぶっとんでいく。これ以上は言わない。

 最後まで読むとピーキーなことをやりきった完遂感はかなり高く、蜜柑花子シリーズの一部のぬるさからすると、着実な進歩は感じる。最後の終焉に至る伏線のまとめ方も良。
 ただし謎解きパズラーとしては、悪い意味で一歩二歩、はみ出てしまったとも思う。この辺もあまり書けないが、要は、ある種の大前提を了解した上で、それでもちょっと(中略)ということです。
 ただまあ、読みものとしてはなかなかオモシロかった。
 こういうクセ玉の方が合っている方だったんですな。
 また次作が出たら、読ませてもらいます。

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