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ミステリの祭典

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ひそむ罠

作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日不明
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2023/08/27 09:27登録)
原題 "La lèpre"、癩病のことで、最後近く第11章に「私までらい病患者になってしまった」(比喩的な意味で)という表現が出てきます。邦題の方は、う~ん、罠と言うのでしょうかねえ。
1976年発表作で、前書きで作者は、登場人物は架空だが、「史的なバック・グラウンドは、われわれの記憶の中に刻みこまれたとおりのものである」と宣言しています。1944年から1957年までの政治的情勢を背景にしていて、近過去の社会派時代小説といった趣があります。人を殺さなかったのに、殺したと人々に信じられたため、英雄的な扱いを受け、代議士になった元高校教師の話で、ラスト数ページを除き、彼が軍隊で少尉になっている養子に書き送った手紙の体裁です。小説としては主人公の苦悩がじっくり描かれていて読みごたえがあったのですが、ミステリとしての終わり方はありふれたものでした。

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