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ミステリの祭典

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あの子はもういない

作家 イ・ドゥオン
出版日2019年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 YMY
(2024/01/19 22:23登録)
細切れたフィルムを繋ぎ合わせるように展開するサスペンスとバイオレンスが強烈。特に第二部の冒頭数ページに広がる光景のインパクトは、いつまでも心に爪痕を残すほどのものだ。
ただし、本作は決して荒々しさだけが売りの作品ではない。姉妹の運命を追ううちに、その通底には暴力に対する冷ややかな目線があることに気付くはずだ。派手な見た目とは裏腹に、実は繊細なテーマをはらんでいる。

No.1 6点 びーじぇー
(2023/08/02 19:36登録)
落ちぶれた役者夫婦の間に生まれ、愛がないばかりか、ある特異な環境下での暮らしを子供時代に強いられた経験を持つ女性ユ・ソンイが主人公。
ある日、警察から十年前に生き別れた妹・チャンイが殺人事件の重要参考人であり、現在失踪していることを告げられる。妹と離れて以来、訪れることのなかった実家へ向かったソンイは、そこで異様な状況に愕然とする。室内は風呂場やトイレに至るまでいくつものカメラが設置されており、妹が何者かの監視下に置かれていたことを物語っていた。
予断を許さない二転三転するストーリー。不意に吹き上がる暴力性や狂気を秘めた登場人物たちの造形。心に搔き傷を残すように綴られる。姉妹の関係不和、育児放棄、陰湿な犯罪と読み応えのある特濃スリラー。

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